クマが人里に出没し、人間の生活圏にあらわれることが増えていますが、実際にその生態に触れたり、本物の姿を目にした人は少ないはず。
北海道の十勝サホロリゾートに隣接した「ベア・マウンテン」は、限りなく野生に近い環境でヒグマたちが生活する様子を間近で体感できる、今までにない自然観察施設です。
施設周辺のサホロ岳を含む大雪山系や日高山系は、エゾヒグマの生息地域ですが、その数は減少傾向にあるといわれています。ヒグマは北海道全域に生息しているといわれていますが、エリアによっては環境省のレッドデータブックに「絶滅のおそれがある地域個体群(LP)」と記載されています。
またワシントン条約(絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)付属書にも記載され、国際的に貴重な種であることが認められています。野生下において、エゾヒグマを絶滅させないためにも、この「ベア・マウンテン」は創設されたのです。
ヒグマの棲む環境へ、専用バスでいざ出発
エントランス棟から、森の中のエゾヒグマたちに会いに行くには、鉄格子で守られた専用のベアウォッチングバスに20分間乗り、ベアポイントへと向かいます。バスコースは森の中を巡っていくので、その途中で歩き回るヒグマに遭遇することができます。敷地内には11頭のヒグマが暮らしており、彼らと同じ目線で見る森の世界は臨場感たっぷりです。
ベアポイントと呼ばれる場所に到着すると、敷地中央にはガラス張りの観察施設があり、周囲にはヒグマが自然に近い状態で行動できるよう、池や洞窟が設けられ、サホロの森と融合した環境が整えられています。運が良ければガラスに近づいてきたヒグマとツーショット写真が撮影できるかも。
展示室では、ヒグマの赤ちゃんの模型や、実物大の冬ごもり巣穴、冬ごもり中の映像などの資料が展示され、ヒグマの普段のごはんやヒグマに出会った際の注意点なども記載されているので、その生態を詳しく知ることができます。