その名にふさわしい滝のせせらぎが背中を押す
滝子山へのアプローチはJR中央本線・笹子駅から国道20号を大月方面に歩き、吉久保バス停から麓の桜森林公園を抜けて林道を伝い、道証地蔵登山口から山頂を目指すスミ沢ルートが軸となります。最近ではその途次にある寂ショウ尾根(または南陵尾根)を利用する登山者が増えているようですが、大月市パンフレットでは危険と判断し推奨していません。ここではスミ沢ルートから初狩駅に下る檜平ルート使う時計回りの周回コースの山行です。
道証地蔵からは沢を伝い橋を渡って右、左と沢をまたいで深奥部に進みます。沢は小さな滝を段に構え、山名にふさわしい心地よい滝音を響かせてくれます。標高が上がるにつれ、差し込む陽射しに川床が透けて見える美しい流れを堪能できます。滝子山が多くのハイカーを引きつける理由ではないでしょうか。山行時間と距離の長いスミ沢ルートですが、秀麗富嶽十二景の中では唯一と言える滝の涼感は魅力です。
標高1000mを超えると、滝子山はシビアな面を披露し始めます。初心者やキャリアの浅い登山者には迂回ルートが用意されていますが、この迂回ルートもなかなかに急登で手強い一面を見せます。その先に広がる防火帯は両側が大きく開けた快適なトレイルです。山頂手前の鎮西ケ池の祠を過ぎれば山頂まであと一息です。山頂で秀麗富士山を堪能し、しっかり休憩をとって下山です。
下りで利用の檜平ルートも急登が続きます。下り始めて程なく檜平と呼ばれる広場に降り立ちます。ここからの富士山の眺望も見逃せません。快晴の日の山行は、一度足を止めてみてもいいかもしれません。そして再びの急登の下山。足もとに細心の注意を払って初狩駅へ。秀麗富嶽十二景の中でも手応えのある山行は平均で約7時間を超えるコースタイムですが、満足感の高さも魅力だと思います。