秀麗富嶽十二景の三番山頂となる大蔵高丸とハマイバの2座は、標高がそれぞれ1781mと1752mで富士山に近いハマイバの方が標高が低くなっています。まるで映画館やコンサートホールのスタンド席のようなレイアウトで、大蔵高丸からの景観は素晴らしく大地がつくり出した富士山観覧席の妙に驚かされます。もちろん富士山の優美なシルエットが視界一面。いずれもマイカーで、湯ノ沢峠からのアプローチならハイキングなノリで登頂可能です。
湯ノ沢峠から山頂へ。玉座の観覧席から見る特大の富士山
その姿、まさに秀麗。遮るものなしの絶景は、大蔵高丸ならではのものだと言えます。前山の三ツ峠山はお約束ですが、視界右手の西側には南アルプスの北部群嶺が水平線を引き、東側には愛鷹山の山並が裾を繋げるかのように優美なラインを披露してくれます。王者のインスタショットは蒼穹の背景。富士山の凛々しく美しいラインを堪能するためにあるようです。
登山口の湯ノ沢峠から1時間弱のコースタイムで味わえる絶景というコンパクトさが、大蔵高丸の魅力ですが、この登山ルート上には春から秋にかけては「お花畑」が東側に広がります。あいにくの取材日は冬でススキが我が物顔に居座っていましたが、ミヤマキンポウゲの鮮やかな黄色や紫のタチツボスミレやサンリンソウの可憐な姿を愛でることができます。晩夏から秋にかけてはマツムシソウが咲き乱れるそうです。