展示館であのリアルな剱岳の錫杖頭を見た
雄山神社中宮祈願殿の真横に建つ「富山県 立山博物館」もおすすめしたい立山スポットのひとつです。同博物館が立地する芦峅寺は立山信仰の拠点集落で、現在でも立山信仰の原風景を忍ばせています。
敷地は13haと広大で、教界・聖界・遊界と名付けられた3つのゾーンに分けられた、立山アミューズメントランドといっていいでしょう。ざっくりと東京ドーム3個分の広さを持つ博物館となります。ここでは同博物館のメイン施設である「展示館」をご紹介します。
歴史を感じさせる立山信仰集落の建造物に混じって建つ近代的かつモダンな展示館は3階建。1階に受付とミュージアムショップ、企画展示室。2階3階は常設展示室となっています。
エレベーターももちろん設置されていますが、アメニティのひとつとして立山観光の花と言える「雪の大谷」をイメージした階段を利用して3階まで上がってみても面白いかと思います。平成3年(1991年)にオープンした当時の雪の大谷の雪壁の高さを再現した螺旋階段になっています。改めて、立山の雪深さを体感できます。
3階は立山の自然と信仰を紹介したフロアで、ブナの森から弥陀ヶ原のガキ田などの自然環境を紹介しています。2階は立山曼荼羅をはじめとする立山信仰の世界観を知ることができます。とりわけ目を引いたのは日本の山岳小説の第一人者とも言える、故新田次郎さんの名作「剱岳 点の記」のキーとなった銅錫杖頭附鉄剣の展示です。
明治40年に剱岳で発見されたこの奈良時代後半〜平安時代に作られたと言われる錫杖と鉄剣が、文化遺産として常設展示されています。残念ながらこの2階フロアは全面撮影禁止。現地を訪れて見学することしか叶いませんが、剱岳に憧れている登山者や完登された方々には、古に登頂した国土地理院職員たちの思いを汲み取れる機会かとも思います。