なかなか日本に帰れない!?  旅の本屋さんが選ぶ「今すぐ冒険に出たくなる本 vol.12」『今夜世界が終わったとしても、ここにはお知らせが来そうにない。』  

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ハードな旅の思い出も笑いに変えて

また、石澤さんの文体が非常に軽妙で面白く、時に下ネタを挟みながら、テンポよく書き綴っているので、恐ろしすぎる公衆便所や各国の国境職員や警察官との飽くなき闘い、世界一美しい連れション、お金を消す両替屋など、もの凄い危険なエピソードや不幸な出来事も、どこか笑いを含んでいて、読んでいて思わず笑みがこぼれてしまうことが何度もありました。おそらく、自分たちの旅を読者の方にも面白がって欲しいという、石澤さんのサービス精神を体現しているような気がします。

結局、8年にも及ぶ楽園探しの旅は、コロナ禍やロシアとウクライナの戦争などの影響で、予定を大幅に変更することを余儀なくされてしまいます。昨年、石澤さんはモンテネグロに「Chin号」を置いたまま日本に一時帰国され、その間に当店を含めて様々な場所でトークイベントを開催したりしていましたが、9月頃からは再びヨーロッパに渡って、旅を再開するとのことでした。今後の旅が気になる方は、石澤さんのブログやSNSをチェックすることをオススメします。果たして海外で楽園を見つけて、無事に日本まで帰ってこれるのかなあ?

今回でこちらの連載は終了となります。これまでお読みいただき、ありがとうございました。

【データ】

■石澤義裕 著『今夜世界が終わったとしても、ここにはお知らせが来そうにない。』(2023年1月刊/WAVE出版)
■石澤義裕(いしざわ・よしひろ)
札幌市出身。2005年より、妻Yukoと移住先を探して世界一周中。スクーターや車で旅をするオーバーランダー。海外放浪リモートワーカー歴18年のデザイナー。2015年より、軽自動車で地球横断中。訪問した地域は120数カ国。海外キャンピング・車中泊は、50カ国以上。海外でのスクーター、車の走行距離20万キロ以上。

NHK「地球ラジオ」をはじめ、『BE-PAL. NET』(小学館)、『地球の歩き方web』、『The21オンライン』(PHP研究所)、日刊電気通信社『アントろピテクスエレクトロ人』など多くのメディアで旅の様子を発信。海外に古い家を買って、リノベしながら住みたい。
https://tabichin2.dtp.to

■評者 川田正和(かわた・まさかず)
1967年、神奈川県生まれ。香川県育ち。明治大学文学部卒。大学を卒業後、出版社に就職するもほどなくして退社。アルバイトでお金を貯めては世界各国への長期の旅を繰り返すうちに、旅行専門の本屋をはじめようと決意。書店員を経験した後、2007年、西荻窪に「旅の本屋のまど」をオープン。日本で唯一の旅行専門の本屋として国内外から注目されている。
http://www.nomad-books.co.jp/

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