2024年3月30日(土)・31日(日)の2日間、代々木公園で開催された「アウトドアデイジャパン東京2024」。広大な会場にはアウトドアメーカーや関連ショップ、自動車メーカーなど126ものブースが並び、2日間の開催で約12万人のアウトドアフリークが来場しました。ソトラバ編集部では同イベントに潜入。気になったアイテムを紹介します。
四万十の生活を支える鍛冶職人の存在
数あるブースのなかで異彩を放っていたのが「土州勝秀 勝秀鍛冶屋」です。日本最後の清流として知られる高知県の四万十川近くに工房を構え、山師と猟師と共に生きてきた鍛冶師が生み出す「鉈(なた)」は独特の存在感を放ち、実用性を重視した職人が手掛けた作品は武骨な造形と過酷な使用に耐える強度を兼ね備えた“古き良き時代の日本文化の象徴”とも言えます。
実用性の高さは近代キャンプでも頼れる味方になるはずです。四万十周辺は林業道具の産地として名を馳せ、鉈と鎌の鍛冶職人が多いことでも知られています。ちなみに鎌や鋸(のこぎり)などを薄もの、鉈や斧(おの)などを厚ものと呼び、鍛冶職人のなかでも分類されています。
ビジネスマンから四万十の鍛冶屋へ脱サラ
林業従事者を山師と呼ぶ高知県では山仕事に腰鉈は欠かせない存在であり、狩猟が盛んでもあるため猟師たちは止めを刺す時には剣鉈を使います。初代勝秀は山師と猟師の生活を支えるため、切れ味と使いやすさを追求していきました。
そして現在でも「鉈は勝秀に限る」と呼ばれるようになり、その評判は他県にも伝わるほど。初代勝秀の技は二代目へと継承され、現在はブースでお話しを伺った菊池祐さんが三代目として鉈の製作を手掛けています。菊池さんは某大手企業に勤務していましたが、地域興しの一環として募った鍛冶屋の後継者として手を上げ、鍛冶屋の道へと進んだそうです。