いかつくてワイルドな見た目に、するどい目つきをした、まるで恐竜のような見た目のグリーンイグアナ。体長も恐竜にははるかにおよびはしませんが、それでも2mくらいにはなるのだとか。上野動物園の両生爬虫類館でも人気だというグリーンイグアナの特徴や意外な素顔について、上野動物園のは虫類館飼育展示係長の高橋英之さんにうかがいました。
怖そうな見た目なのになぜか人気が高い
上野動物園の両生類爬虫類館でもグリーンイグアナは人気があるそうです。
「怖そうというのもあって好みは二極ではありますが、好きな方はよく立ち止まって、ゆっくり見ていかれますね。人気の理由はお客様によってさまざまだと思いますが、もしかしたら見た目がゴジラのようだからかもしれません。ゴジラのような怪獣って、好きな方は多いですから」(高橋さん)。
グリーンイグアナにはギザギザとしたたてがみ状のうろこ(クレスト)があり、からだ全体の大きさはしっぽまで含めると、2メートルほどにもなるのだとか。耳たぶにある丸いうろこや、あごの下に垂れ下がった皮膚(デュラップ)も印象的です。さらに、太くてがっしりとした四肢には長い指があり、確かに恐竜か怪獣に似た印象も受けます。
飼いやすいことからペットとしても人気が高い
そんな迫力満点のグリーンイグアナですが、実は温厚なベジタリアンで、知れば知るほど怪獣や恐竜からは、印象が離れていきます。
ペットとして飼いやすいと感じる人も多いようです。
「グリーンイグアナは飼いやすいんです。大きな鳴き声もあげないし、犬や猫と違って留守番させたからって、寂しがるということもありません。そして何より、他の爬虫類と比べ餌がとても楽なんです」(高橋さん)。
ヘビや他の多くのトカゲ類は肉食や昆虫食のものが多く、コオロギやネズミなどを与えなくてはならず、抵抗を感じる人もいます。しかし、グリーンイグアナは植物食のため、餌やりがとても簡単です。
「うちでは栄養のバランスが整えられたイグアナ用の粒えさと小松菜などをあげています。」(高橋さん)。
グリーンイグアナは肉食っぽく見えて、実はあっさりとした食事を好むベジタリアン。そんなギャップも魅力かもしれません。
餌をくれる人には優しい。意外にちゃっかり系?
見た目とのギャップといえば、性格も予想外に温厚です。「餌をくれる人には優しくて、攻撃もしてこないですね」(高橋さん)。一方、餌をくれない人に対しては、優しくしてくれるとは限りません。
「かまれたり、尾っぽでひっぱたかれたりすることもあります。また、威嚇もしてきます。自分を大きく見せようとして口を大きく広げたりするんです」(高橋さん)。
ただし、むやみに他の生き物を傷つけようとしているわけではないそうです。
「グリーンイグアナだけじゃなくて、爬虫類はみんな警戒心がひじょうに強いんです。地面から音を感じる習性があって何かが近寄ってくると威嚇したり、さっと逃げたりします」(高橋さん)。
ちなみに、餌をくれる飼育員には優しいとのことですが、人をはっきりと区別しているかどうかは、ちょっと怪しいそうです。
「餌の時間を覚えていて、その時間に近づいてきた人を、餌をくれる人と思っているのかもしれません」(高橋さん)。