今、キャンプ好きや車中泊ファンの間で話題のクルマをご存知でしょうか? 2023年11月に新たな車中泊のカタチを提案するモデルとして発表された、期間限定販売の特別仕様車「日産キャラバンMYROOM Launch edition」は、日産自動車が企画・設計・開発をしたメーカー純正の“バンライフ”モデル。これまでの車中泊仕様車は架装メーカーや一部のディーラーが手掛けたものが中心でしたが、ついに日産自動車が「車中泊」という新しいカルチャーを認め、ファンに向けて送り出したエポックメイキングな一台なのです。
開発意図は今年で生誕50周年を迎えるキャラバンを記念したもの。専用ホームページには「日常生活に追われるなかで非日常を感じ、自然に触れて安らげる空間がほしいユーザーに向け、自分のお気に入りの部屋を自然のなかに持ち込んで、リラックスができるクルマとして開発しました」と記されています。ソトラバ編集部では、実際に「日産キャラバンMYROOM Launch edition」をアウトドアフィールドに持ち出して、その魅力を実践レポートします。
キャラバンベースの日産純正バンライフ仕様が降臨
まず、ベースになるのは新型の日産キャラバン。エンブレムには「PREMIUM GX」のエンブレムが付けられていますが、車両はGRANDプレミアムGXをベースに架装されています。仕様は標準ボディのロングボディ(標準ルーフ)となり、駆動方式は2WDと4WDが選択可能。エクステリアとしては通常のモデルとの差は少なく、特別色のツートーンボディ(ラインナップは全4色)やブラックアウトされたグリル、ドアハンドル、運転席側のBピラーに設けられた外部電源の取り入れ口程度にとどまります。
このあたりは販売価格を抑えるとともに、ユーザーが自由に手を入れる余白を残しているのかもしれません。試乗したモデルはブラックのスチールホイールが与えられ、横浜タイヤのBlue Earth-VAN(195/80R15)が組み合わされています。このタイヤチョイスもベース車両がバンであることを物語っています。
ワーケーションできる移動できるマイルーム
両側スライドドア仕様のモデルがベースとなり左側にのみ電動スライドドアを採用(右側は非電動)。車内に足を踏み入れると、シンプルな外観からは想像がつかない贅沢な空間が広がっています。セカンドシートは決して贅沢ではないものの、通常の走行時は程よい硬さのクッションパッド構造が安心感を与え、駐車時には後部座席側に反転させることで、柔らかなソファー的な座り心地を再現した業界初の2ウェイ仕様になっています。
バックドアの内側に置かれた仕切り板を両壁の溝に添わせれば移動式のテーブルとなり、バックドアを開ければ外の景色を眺めながらリラックスできる憩いのスペースへと変身。車内の100V AC電源を使用すればパソコンが使えるワーキングスペースとしても利用できます。
プライバシーを確保しながら安心安全に車中泊できる
荷室部分の両サイドには収納を兼ねたベンチシートが備えられ、今回のモデルは右側サイドに跳ね上げ式のベッドを装備。別バージョンとして2分割の折りたたみ式ベッドも用意され、予算や好みに合わせてチョイスすることができます。
跳ね上げ式ベッドはワンアクションで展開することができるので設営も簡単。使用する表皮はセカンドシートと同様のヘリンボーン柄となり、シックな雰囲気を醸し出しています。実際に横になって見た印象では柔らかい……と感じさせるほどのクッション性がないので、就寝時にはエアマットなどを敷くことをおすすめします。
ベッドのサイズは幅1204mm×長さ2192mmとなり、大人2人が十分に就寝することが可能。ベッド下は収納スペース(高さ258mm)として利用することができるので、就寝時に荷物が邪魔になることもありません。両サイドの壁は明るい木目調の合板素材が使われ、建付けもしっかりとした印象。窓部分にはブラインドを標準で装備しているので、閉めてしまえば外からの視線も気になりません。また、運転席後部と左右のスライドドア部のウィンドウには厚めのカーテン、リヤウインドウにはスクリーンとして使用できるロールブラインドを装備しているので目隠し効果、防犯効果もバッチリ。今回は試せませんでしたが、プロジェクターを持ち込んでロールブラインドに映画を投影してノンビリと過ごすこともできます。