その美しさで人気のカエルといえばヤドクガエルです。野生では南米の熱帯雨林を中心に生息し、9属200種類以上がいるそうです。怪しいほどに艶やかな色をしているヤドクガエルですが、その名の通り、皮膚に猛毒を持っているのだとか。
今回は美しくて怖いヤドクガエルについて、静岡県河津町にある体感型カエル館KawaZooの白輪剛史館長にうかがいました。
哺乳類も死に至らしめるほどの毒を持つ種類も
ヤドクガエルは小ぶりで見た目がとても美しいカエルですが、恐ろしい猛毒を持っていることで知られています。
「餌となるアリなどが持っている酸が、体内で毒に変換されることによってヤドクガエルも猛毒を持つようになります。種類によって毒の強さは異なりますが、大型の哺乳類も殺せるほどの毒を持っている種類もいます」(白輪館長)。
それほどの毒を体内に持っていて、ヤドクガエル自身は大丈夫なのかと心配になりますが、自身の体内で作られた毒なので、全く問題ありません。
しかし、なぜそのような猛毒を持つに至ったのでしょうか。
「それはもちろん、自分の身を守るためです。そして、あの鮮やかな体の色は、ほかの生き物への警告となっています。自分に近づいたら、猛毒でやられるぞとサインを出しているわけです」(白輪館長)。
ではここからは、人気の高いヤドクガエルを紹介します。
クールな印象のコバルトヤドクガエル
日本でも人気が高いヤドクガエルといえば、コバルトヤドクガエルです。一度見たら忘れられない、鮮やかなコバルトブルーをしています。
「全身が真っ青のとても美しいカエルで、背中に黒い斑点があります。普通、自然の中には存在しない鮮やかな青色をしていますが、このような姿をしているのはもちろん警告のためです。南米のスリナム共和国に分布しています」(白輪館長)。
体長はだいたい3~5㎝弱です。オスは孵化するまで卵を守り、背中に乗せてオタマジャクシの面倒を見るなど、なかなかのイクメンカエルでもあります。
【DATA】
コバルトヤドクガエル
学名:Dendrobates tinctorius
生息地:南アメリカ
キュートさではナンバー1? イチゴヤドクガエル
「南米の熱帯雨林に生息するイチゴヤドクガエルも、とても鮮やかな赤色をしていて印象に残ります」(白輪館長)。
体色については個体差があり、足が青いイチゴヤドクガエルは、まるでジーンズをはいているように見えることからブルージーンと呼ばれます。ほかにも全身が真っ赤なヤドクガエルなども存在します。
「見た目はきれいとか、かわいいとか感じるかもしれませんが、このカエルもなかなか毒は強いですね。プリミオトキシンという毒を持っています」(白輪館長)。
イチゴヤドクガエルの生態の特徴としては、育てるつもりの卵のほかに、餌用の卵も出産するというものがあります。未受精卵をエサとして、卵から孵化したおたまじゃくしに与えるというのです。
「同じように生み出された卵も一部が生きて、一部がエサになるという。そうすることで、イチゴヤドクガエルのおたまじゃくしは育っていきます」(白輪館長)。
【DATA】
イチゴヤドクガエル
学名 Dendrobates pumilio
分布 ニカラグア、パナマ、コスタリカ