昔から俳句に詠まれたり、童謡に歌われたりなど、人間にとってカエルは身近な生き物ですが、一方で、よく知らないこともいっぱい。日本最大規模のカエル施設「体感型カエル館KawaZoo」の白輪剛史館長に、4つのカエルの不思議について教えてもらいました。
カエルには2つのまぶたがある?
カエルというと大きな目が特徴的ですが、まぶたが2つあるという話を聞いたことはないでしょうか?
「まぶたが2つといえば2つなんですが、通常のまぶた以外にあるのは瞬膜といいます。目を閉じるときに使うまぶたとは別に、下から上に閉じる半透明または透明の膜があるんです。目を保護する役割をしていて、この瞬膜があるおかげで、カエルは水の中でもスイスイ泳げます。いわばゴーグルみたいなものです」(白輪館長)。
ちなみに瞬膜はカエルだけではなく、鮫の仲間や、鳥類、爬虫類、アシカ、ホッキョクグマなども持っています。犬や猫もありますが、あまり見る機会はありません。ただし、体調によって目立つ場合があります。
カエルが鳴くと雨が降る?
昔からよく「カエルが鳴くと雨が降る」とか「雨が降るとカエルが喜ぶ」などという人がいます。カエルといえば雨のイメージがありますが、本当にカエルが鳴くと雨が降るということはあるのでしょうか?
「はい、それはあっています。カエルといってもニホンアマガエルのことですが、雨のカエルだからアマガエルと呼ばれます。とても敏感なカエルで空中の水分量を感じ取ると考えられています。雨が降ると水がたまり、繁殖に適した環境になるので、鳴き始めるのです。だから、昔から人はアマガエルの声で、雨が降るかどうか判断したのでしょう」(白輪館長)。
ちなみに雨が降ると本当にカエルは喜んでいるのでしょうか。
「カエルに聞いたわけではありませんが、繁殖や子育てに適した環境になるわけですから、やはりうれしいのではないでしょうか」(白輪館長)。
【DATA】
ニホンアマガエル
学名 Hyla japonica
分布 日本、中国、朝鮮半島
カエルは田んぼで人の命を守っている?
水田に行くと多くのカエルの姿を見かけます。カエルは水田の環境を良い状態に保つのに役立っていると聞いたことがあります。
「カエルは昆虫食なので、イナゴなどの害虫を食べてくれる益獣です。また、水辺に大量に発生する蚊も食べます。蚊はマラリアなどの病気を人間に広め、歴史的にも多くの人の命を奪ってきました。その蚊を食べてくれるという点でもカエルの役割は大きいですね」(白輪さん)。
カエルは「食べる」だけではなく「食べられる」という点でも、自然界で一役買っています。
「カエルは水の中にあってはナマズなどに食べられ、地上に出ればサギやトキなどの鳥たちをはじめとした、さまざまな生き物の餌にもなります。田園の生態系を守ってくれています」(白輪館長)。
KawaZooでも田んぼに田植えがされる年があり、のんびり過ごすカエルの姿が見られるそうです。