近くに田畑がある家に住んでいたり、アウトドアを楽しんでいたりすると、夜、聞こえてくるのがカエルの合唱です。風情を感じることもありますが、ときとして驚くほど大音量の合唱になることも。
なぜ、カエルたちはあのように元気に鳴くのでしょうか。カエルが鳴く理由について静岡県の河津町にある、世界各国の珍しいカエルを集めた「体感型カエル館KawaZoo」の館長・白輪剛史さんにお話をうかがいました。
カエルの雄が鳴くのは雌を呼んでいるから
「カエルで鳴くのは雄です。危険にあったときなども鳴きますが、基本的にオスは繁殖期に、メスを呼びよせるために鳴いています。遠くのメスにも聞こえるように、あのような大きな鳴き声になっているんですね。また、ほかのオスにメスをとられないように、鳴いてけん制することもあります」と白輪館長。
カエルが鳴く時期は種類によってまったく異なる
ところで、一口にカエルと言っても、聞こえてくる鳴き方の種類はさまざまです。
「種類によって鳴き声はみんな違います。同じ鳴き声だと違う種類のカエルが来てしまいます。だから、違う種類同士で間違わないよう、それぞれが違う鳴き声をしています」(白輪館長)。
種類別に鳴き方の違いがあるのは、確実にパートナーと出会い子孫を増やすためということのようです。
また、種類によって鳴く時期が異なるそうです。
「カエルによって繁殖期が異なるので、鳴く季節もまちまちです。よく、梅雨から夏にかけてケロケロと聞こえてくるイメージがありますが、それぞれのシーズンごとに鳴くカエルがいます」(白輪館長)。
ちなみに、日本でよく見かけるカエルの鳴く季節は以下のようになっています。
●ヤマアカガエル 1~3月頃
●アズマヒキガエル 2~5月頃
●シュレーゲルアオガエル 2~5月頃
●トウキョウダルマガエルは4~7月頃
●ニホンアマガエルは4~8月頃
●ツチガエルは6~8月頃
ただし、地域によっても若干、鳴く時期に違いはあるそうです。
カエルってゲコゲコやケロケロって鳴くのじゃないの?
種類によって異なるという鳴き方ですが、日本でよく聞くカエルの声にはある特徴があるそうです。たとえば、ニホンアカガエルはキュッウキュッウのように聞こえ、ニホンアマガエルはケッケッケと聞こえます。
「基本的には日本の自然界にいるカエルの鳴き声は、カキクケコのカ行が強く聞こえます」(白輪館長)。
確かに、子供の頃に『ケロケロ』や『ゲロゲロ』『グワーグワー』などと鳴きまねをした思い出がある人も多いのではないでしょうか。その多くがカ行もしくはカ行が濁ったガ行の音が入っています。
「ところが、海外では違う鳴き声のカエルも多くいます。ヒューヒューとかピーピー、ペコペコとかハ行のカエルもたくさんいるんですよ」(白輪館長)。