寒い冬を越えて、もうすぐ訪れる登山のハイシーズン。近年のアウトドアブームも相まって新規ユーザーも増えている登山者。そんなハイカーの重要なギアのひとつといえば「ザック」。今回は、ジャック・ウルフスキンのマーケティングセクションマネージャー、宮城さんにザック選びの基本を教えていただいた。
登山にザックが必要な理由って?
登山には欠かせないギアの代表格がザック。登山する者にとっての「三種の神器」と呼ばれている。(他の二つは登山靴、レインウェア)水筒や食料、タオルなど持ち物が多いため両手がふさがらないようにザックは重宝されているのだ。
サイズバリエーションは幅広い、その理由は?
ザックの容量(サイズ)は細かく分かれていることが多い。というのも、日帰りの軽いハイキング~テントでの連泊、長期間の縦走などさまざまな行程が想定されるためだ。ビジネスシーンや普段使いでも使われるバックパックは10L~20Lが一般的。日帰り登山や山小屋泊など荷物の少ない山行は、およそ25~35L、35~50L、50~80Lのようなサイズ展開で販売されているパターンをよく見かける。
登山用のザック、普段使いとどう違うの?
そもそも登山用として販売されているザックは普段使いのデイパックとどう違うのだろう。
最近では凝ったデザインの商品も増えたが、基本的にはデザイン性以上により機能性を重視したものが多いのが、登山用ザックの特徴のひとつと言える。山行中に使っていて快適かどうかがキモ。
「肩に負担がかかりにくくするためのショルダー部分や、長時間背負っていても蒸れない通気性を確保するための背面メッシュ部分などが代表的なポイントですね。そして登山中のタフな場面でも耐えうる堅牢さや、雨などに対応する防水性の高さにこだわったものが多いです」(宮城さん)
デイパックより多く、さらに重たい物を収納することも想定して、出来るだけ体に負担がかかりにくいようにウエストベルトのフィット感を重視しているのだそう。ハードなスポーツのサポート役になるバディ的な商品を、日々開発してくれていると思うと頭の下がる思いだ。
登山用ザックにあったほうがいい機能
今は数えきれないほどそれぞれが独自の機能を研究開発しているザックだが、宮城さんの考える「登山用ザックにあったほうがいい機能」を聞いてみた。
「人や山行にもよりけりなところなので少し偏るかもしれませんが、自分の登山スタイルは休憩をこまめにとりながらスピーディに進んでいくタイプなので、ドリンクボトルが取り出しやすいようウエストベルトに付帯しているドリンクホルダーは便利な機能だと思っています。さらに給水関係の機能なのですが、急登が続くような山行であればハイドレーション収納ポケットもあると嬉しいですね」
ハイドレーションとは、ソフトボトルに吸引用のチューブが取り付けられた給水システムで、歩行中にこまめに水分補給できる便利なアイテム。
しっかり止まって休んでいる時に給水をするか、移動中にするかで変わってくるが、移動中にこまめに摂取する場合はドリンクの取り出しやすさは大切な要素。
「フラップ(ふた)やメインコンパートメント(主な荷室)に直接アクセスができるように、部分のファスナーが上からも下からも開けられる仕様になっているとストレスが少ないですね。登山時はどういった体勢になるか予測できないからこそ、そういった細かな部分の機能は重要だなと思います」(宮城さん)