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雄大な絶景のあとはまさかの断崖! 低山でも山の楽しみが満載の社日山縦走ルポ・後編【中国・島根県安来市】

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安心しきったところにとんでもない急斜面

ここまでで登山口から1時間ばかり。もう行程の3分の2ぐらいは来たはず。予定通り、2時間以内には下山できそうです。ところが、すぐに驚きの光景に出くわします。

相変わらず、道ははっきりしていて迷いようがありません。しかしこの真っ逆さまぶり。社日山、地面は堅いのですが表面は砂状でザラザラ。おそるおそる、トラロープを頼りにしながら下ってゆきます。

振り返ると、ほぼ絶壁。ここが間違いなくこのコースの難所でしょう。眺望ポイントが次々現れるのんびりハイキングコースかと思いきや。しかしこの変化に富んだ展開、悪くありません。急な下りはさらに続きます。

そして再び、細いながらもはっきりした尾根道へ。

難所を越え、ホッとしたのもつかの間。送電線の鉄塔のあるちょっとした広場の先に、再び難所が現われました。

先程よりずっと長いのですが、こちらはトラロープだけでなく、階段がしっかり設置されています。鉄塔のメンテナンスのために整備されたのだと思われます。上からよりも下からのほうが、その急斜面ぶりがよくわかります。

下山前に〝おまけ〟で前方後円墳も

2つの急斜面を降りてきたので、標高もかなり低くなりました。安来駅裏に広がるプロテリアル(旧・日立金属)の工場が目と鼻の先です。

このまま下山とみせて、この先にもうひとつ見どころが待っていました。再び、小高い丘のような高まりへと登ってゆきます。

登り切ったところに、石灯籠と石碑が立っていました。この丘、実はただの丘ではなく、昆売塚(ひめづか)古墳。5世紀に築かれた前方後円墳だとか。埴輪や鉄剣、石棺も出土しています。

古墳から石段を下ると、山陰本線脇の登山口に。そこにあった「昆売崎(ひめざき)伝承」の看板には、娘の命を奪ったサメを退治した男の伝承譚が書かれていました。安来があるのは、旧国名では出雲国。数々の神話の舞台が残っているのも、当地ならでは。

登り始めてからここまでほぼ2時間。ここから駅までは10分もかかりません。東から西へも縦走できますが、難所の険しさを考えると、西から東がおすすめです。駅チカで、景色もよく、ちょっとした難所も楽しめる。低山を侮るなかれ、です。

【DATA】
■日本台・世界平(社日山)
住所:島根県安来市安来町

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