キャンプ飯に使う醤油や味噌などの調味料は、なんとなく自宅にある大手メーカーのものを持っていきがち。ですがちょっと遠出してキャンプをする際は、その土地ならではの地醤油・地味噌を選んでみませんか?
例えば、関東のお醤油は塩味が強くて、九州のお醤油には甘みがある……といったように、地域や製造方法によって味が全然違ってくるので、キャンプ飯も「その地域テイスト」に。地元のこだわり醤油を使えば、キャンプ飯はもっとおいしくその土地らしくなりますよ。
生産者の現場取材&現地で実食シリーズ、産地直〝食〟なソトごはん。今回は、島根県安来市にあるヘヴィメタル好きのお醤油屋さん、矢田醤油店の「暗黒ノ醤油」をご紹介します。
「生醤油」を仕込みに使った「暗黒の醤油」が大人気!
島根県の東端、鳥取県との境の安来市にある「矢田醤油店」は、創業100年以上の老舗醤油店。醤油を自社で醸造しています。こちらで醸造・販売されている、国産の大豆と小麦を使った「お醤油」や「味噌」がとにかくおいしいと地元で評判で、なんでも普通のお醤油とは見た目も製法も違っているのだとか。
さっそく一番人気のお醤油「甘露」を見せていただくと、パッと目を引くのはその黒々しい色!
こちらは「暗黒ノ醤油」としても売り出されているそうですが、その名前の通り、通常のお醤油よりも濃厚そうな、真っ黒な色をしています。
じつはこの色こそが、醤油の旨さの証。
一般的なお醤油である「濃口醤油」は、まず大豆と麦で麹を作り、それを塩水で仕込んで、搾ったものが醤油になります。しかし、矢田醤油店が創業当時から採用している「再仕込み醤油」の製法では、一度諸味から搾った「生醤油」を、贅沢にも仕込みの塩水の代わりに使用。
本来なら完成品となる醤油を、わざわざ仕込みとして使って「二段階で熟成」させているので、原料はもちろん手間も時間も倍かかりますが、それだけ味も濃厚においしくなります。
生醤油を使って醤油づくりをされているからこそ、出てきた醤油は真っ黒で濃厚。
この熟成された「暗黒」の色が、旨さの秘密というわけです。
暗黒ノ醤油は、濃厚で味に深みがありながらも、適度な甘みと塩味があって、とっても美味。リピーターも多く、なかにはこの醤油を気に入ってラーメンに使い、〝暗黒の醤油ラーメン〟として売り出すお店もあるそうです。
「なんなら、これでお酒を飲む人もいるんですよ。この醤油がめちゃくちゃうまいから、これだけでいいそうです」と店主の矢田さんは嬉しそうに語ってくれました。
キャンプへの持ち込みにもぴったりなサイズ感
矢田醤油店では、「金山寺みそ」という国産の原料にこだわったお味噌も売られています。キュウリなどの生野菜やクリームチーズなどと合わせれば、絶品のおつまみになると人気で、全国から注文が入るのだとか。
農業の盛んな安来市は地元の野菜もおいしいので、セットで買えばお酒がどんどん進みます。
ちなみに金山寺みそは、一般的なみそ汁に使うものとは違い、金山寺諸味を野菜と一緒に熟成させた味噌。調味料ではなく酒の肴としてそのまま食べることのできる「なめ味噌」の一種なので、そのまま食べてもとってもおいしいんです。
暗黒の醤油はキャンプ場でも使いやすい100mlのものと、家庭用にぴったりの500mlのものがあります。外で使うのであれば、卵かけご飯にかけてみたり、冷奴にかけてお酒のつまみをつくるのもおすすめですよ。