焚き火のハウツーと知識を徹底的に解説した〝焚き火実用書の決定版〟『焚き火の本』。
テレビや雑誌で活躍中の焚き火の達人・猪野正哉さんが解説するこちらの一冊から、今回は「正しい焚き火台選び」のポイントについて転載します。
焚き火台選びはシューズ選びに似ている
私は、常に「オシャレは足元から」と意識してモノ選びをしている。これは洋服に限った話ではなく、クルマのタイヤや登山靴も同様だ。足まわりがしっかりしていないと、遠くにも行けず、山頂にも立てないのだ。
キャンプでいえば、焚き火台も例外ではない。ここがバシッと決まらないとなると、サイト全体のバランスがおかしくなってしまう。いくら高価なギアをそろえていようとも、ファミリーなのに小さい1人用、ソロなのに無駄に大型な焚き火台を使っていては、アンバランスで周りから笑われてしまうだろう。
正しい焚き火台を選ぶには、「目的」「使用人数」「収納サイズ」をハッキリさせておく必要がある。どのような焚き火をするのか、事前に使用シーンをシミュレーションしてみると、おのずと必要な焚き火台が決まってくるはずだ。
たとえば、BBQや調理用の火口としても使うのならばオプション機能の充実したもの、観賞用に燃やすならシンプルな構造のものを選ぶ。人数が毎回不特定なら、汎用性の高い2~3人用サイズがあれば困ることはない。
また、アウトドアギアはかさばるものが多い。自宅の収納スペースが広ければ問題ないのだが、なるべくコンパクトになるモデルをおすすめしたい。なかにはバックパックに入るほど小さくたためるモデルもあって、電車やバスの移動でも持ち運べる。
理想を言わせてもらうなら、汚れてもいい調理用、きれいにしておきたい観賞用とを使い分けてほしい。観賞用を料理用として併用してしまうと、食材の油や汚れで台が傷みやすく、掃除やメンテナンスが面倒だからだ。キャンプ場によっては直火OKの場所やレンタルが充実している場合もあるので、毎回、借りて済ますのも手軽でいいかも。
平らなほど薪が組みやすい「フラット型」
火床がフラットなので薪を組みやすい。さまざまな組み方のバリエーションを試すことができる。スキレットやケトルを置いても斜めにならないので、直火調理にも適している。調理道具は焚き火台に直置きし、薪や熾火で周りを囲ってあげれば、火力が安定する。
特徴
●薪をくべやすい
●調理がしやすい
●炎の細部まで見渡せる
昔ながらの焚き火スタイル「バケツ型」
薪を寝かせたり、立てかけるのではなく、縦に入れて使う。一見、燃焼効率が悪そうだが、本体の底やサイドに穴があいており、空気の流れが確保されていてよく燃える。松明やかがり火も薪を縦に燃やして照明として使われてもいた。どこか懐かしいスタイルだ。
特徴
●燃焼効率がよい
●自作できる
●懐かしさを味わえる
薪がキレイに燃えてくれる「メッシュ型」
特殊なメッシュを底面に採用したタイプ。火床がふにゃふにゃなので薪を組むのに慣れが必要だが、酸素を取り込みやすいため燃焼効率は抜群。放っておいてもよく燃える。耐久性の懸念もあるが、安物でないかぎり、そう簡単には破けない。コンパクトになるのも特徴。
特徴
●コンパクト収納
●燃焼効率が高い
●燃え残りが少ない