高緯度にある国土の実態と幸福度が高い国民性とは
特集ページによると、“スケールが桁違いのでっかい自然”があるフィンランドでは、森に入れば美味しいキノコやベリーがたくさんあって、湖水には美味しい魚がたくさん。オーロラが見られるのも魅力です。
国土の広さは日本とあまり変わらないものの、森林面積は75%と、ヨーロッパでも屈指の森林王国だそうです。41か所もの国立公園があり、湖は「少なくとも18万以上」、島の数も18万以上あるとか。
「フィンランド人の生態大解剖」の章によると、
多数派であるフィン系の人々は、ほかの北欧やヨーロッパ諸国とは異なるルーツを持ち、北ロシアや西シベリアと同じウラル諸語という言語だそう。少数派には、ラップランドに古くから暮らしてきたヨーロッパで唯一の先住民族サーミもいます。
また、寒い国でありながら、人々は平均すると週に3日も野外活動をしていること。自然を愛する人が多く、休日には近くの森へ出かけて、野生のベリーを摘んだり、きのこを探したりするのが一般的だそうです。
「すこし遠くにある、お気に入りの町へ ローカルトリップのアイデア帳」、「冬のトレイルを歩く」 など、具体的な旅を提案するページがとくに興味深く、本場でフィンランドサウナを体験した5人の日本人の体験記など、親近感がわく記事も。
そのすぐ後ろに、紛争の真っ最中であるロシアの隣国であるフィンランドのリアルな状況を伝える「ロシア国境のいま」を配するあたりが『TRANSIT』らしい公正さなのかなぁとも思います。こういった事情も踏まえつつ、誰かフィンランドのトレッキング事情の取材とか、ご依頼いただけませんか?行ってみたいなぁ。
【データ】
『TRANSIT 58号』(2022年12月刊/euphoria factory)
https://transit.ne.jp/2022/12/001950.html
■出版元 euphoria factory
自社で企画・発行するトラベル文化誌<TRANSIT>をはじめとする雑誌・書籍などの出版物制作と、
企業ニーズに応じたコミュニケーションツール制作の、2つの事業を手がけている。
■評者 根岸真理
1961年、神戸市須磨区生まれ。1歳前に親に連れられて六甲登山デビュー。アルパイン歴30年の自称アウトドアライター。『六甲山を歩こう!』(神戸新聞総合出版)ほか六甲山関連本を4冊上梓。『神戸新聞』のおでかけ情報欄「青空主義」の第三月曜日版で六甲山情報を執筆中。