手作りナイフ教室にチャレンジ
今日の私たちのお目当ては手作りナイフ教室です!
そう、この連載の最終目標は、ナイフ一本だけ持って山に入れるようになること。そのナイフが手作りだったら、すごい良いですよね!
しゃちょーのナイフに対する関心は未知数です! 付き合いは長いけど、改めて刃物について話したことがありません。
手作りナイフ教室のテントに到着すると大盛況で、まだ午前中なのにもう受付終了しそうとのこと。すごい。
ナイフ作りでは何をするかというと、刃物の部分と持ち手を繋ぐ作業を体験します。てっきり熱してハンマーで叩いたりすると思っていたのですが、冷静に考えて参加者がずらずら並んで高温の鋼を叩きまくるのは危ないかもしれない……。
まず参加費を払って、刃物と持ち手と、このふたつを繋ぐための金具とネジをもらいます。
ネジは片方の頭が丸くなっているので、これを刃物と持ち手の穴に通して、ネジの片側を金槌で叩いて成形して、丸くしていくのです(そうするとネジが抜けなくなって、刃物と持ち手が繋がる)。
うーん、持ち手を傷つけないように、小さいネジの端っこを叩いていくのは、なかなか難しそう。
ちなみに円形の縁を均等に叩いて、成形していきます。
私が悩んでいる間に、しゃちょーは黙々と作業に取り組んでいました。さすが仕事が早いです。
最初にネジを叩く時は水平に。それから、ネジの縁を叩き潰していく感覚で金槌を動かします。
この作業が地味に難しくて、ネジの先端より金槌のほうがずっと大きいので、全然叩いてる面が見えません。
もちろんきちんと縁を潰さないと、刃物と取っ手がバラバラになってしまうのですが、叩きすぎると、今度は折りたたみ式のナイフなので、取っ手から刃物が取り出しづらくなってしまうのです。ナイフ作りって人生みたいですね(byしゃちょー)。
職人の方にレクチャーしてもらいつつ、悩みながら叩いていたら、あっという間にしゃちょーが完璧に仕上げていました。
なんなの、ナイフ作り100回目か?
私は結局熟練の職人さんに手伝っていただいて、なんとか完成。
折りたたむ時の硬さもちょうどいい、手のひらサイズのナイフが仕上がりました!
最後に砥石で刃を研ぐと、つるつるになって、片手で持ち上げた薄い紙も、すっと切れるようになります。ちょっと怖いくらい。すごいですね~!
刃をしまう時は手を切らないように気をつけながら、両手で持ち手と刃の両方を押して収納するそうです。
職人さんたちに使用用途を聞いたところ、一番多かった回答が鉛筆削りでした。でもいまは鉛筆削りにナイフ使わないよねえ、とも。
でも、キャンプでロープを切ったり、袋を開封したり、いろんな使い方ができそうです。これで山の動物を捌くのはさすがに難しいかな……?
職人さんがお話の途中で、刃物だけじゃなくて、取っ手も革製のケースも全部手作りのナイフを見せてくれて、すごいびっくりしました。人の手で作れるのはわかるけど……こんなに作れるものなんだ! 刃物を愛する人たちの祭りだ~!
■安来市観光協会
■やすぎ刃物まつり
https://www.city.yasugi.shimane.jp/shigoto/shokokanko/others/hamonomatsuri/2023kaisaigaiyou.html
【プロフィール】
姫乃たま
1993年、東京都生まれ。10年間の地下アイドル活動を経て、2019年にメジャーデビュー。同年4月に地下アイドルの看板を下ろし、現在は文筆業を中心にラジオ出演や音楽活動をしている。
2015年、現役地下アイドルとして地下アイドルの生態をまとめた『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー)を出版。著書に『職業としての地下アイドル』(朝日新聞出版)『永遠なるものたち』(晶文社)など。音楽活動では作詞と歌唱を手がけており、主な音楽作品に『パノラマ街道まっしぐら』『僕とジョルジュ』などがある。