スキーアイテムについて詳しく解説してきた本連載。今回は実際にスキーブーツを試し履きして購入するまでの流れを紹介します。以前の記事のようにこれまでも、スキーを楽しむにはブーツ選びこそ重要と何度もお伝えしてきましたが、今回の記事ではその重要性をさらに理解していただけるはずです。
スキーブーツ選びはプロによる採寸から
まず当たり前の話ですが、ブーツにはたくさんのサイズがあります。自分の足のサイズにぴったり合うブーツを選ぶのが基本です。今回も石井スポーツ神田本館の下山真さんに、詳しく解説していただきましょう。
「お店では足の長さはもちろん、幅も採寸しています。よく言う『ワイズ』と表現されるところです。母指球のある部分の横の幅を測っています」(下山さん)
普段履く一般的な靴を購入する際にはまず自分で好きな靴を選んで試し履きしますが、スキーブーツの場合はプロに選んでもらうのが正解。長さだけでなく幅まで測定するんですね。この作業なくして、ベストのブーツとは出会えません。
足のサイズだけじゃない! チェックすべきは「立体感」
さらに、採寸時にチェックしているのはサイズだけではないと下山さんは続けます。
「サイズに加えて、じつは足の立体感も見ています。膝を曲げたり伸ばしたりすると、足の形はそれに合わせて変化します。その状態を見て、土踏まずを内側から支える必要があれば、ブーツと合わせてインソールをオススメすることもあります」
立体感まで確認したうえでオススメのブーツを探してくれるとはさすがですね。各メーカーのブーツの形状を知り尽くしているからこそできる、まさにワザだと感じました。また、インソールを入れることでより快適になることもあるので、ぜひ合わせて検討したいところ。
カタログに載っていない情報こそ命!
採寸後は、実際にオススメのブーツを試し履きしていきます。
「カタログにはもちろんブーツのスペックが書いてあるので、自分の足のサイズがわかる方はお店に来なくてもブーツを選ぶことは可能です。でも、立体感の情報やかかとなどが、どのくらいフィットするかはカタログには書いていません。そう考えるとやはり実際に履いていただくのが一番です」(下山さん)
下山さんはさらに、ブーツは“真ん中から後ろ”が大切だとも教えてくれました。かかと、くるぶし、土踏まずの周りのフィット感が高いものを選ぶことが、ブーツ選びには欠かせないそう。なるほど、それは数字のデータからは見極められないこと。試し履きすることの大切さを実感します。
左右で別々のブーツを履いて競い合わせる
ブーツは一つ試し履きして終わりというわけではありません。本当にフィットするものを見つけるためにいくつか履いて、試してみる必要があります。
「左右違うブーツを履くと違いがわかるので、このように試していただきます。左右どちらが良いかを比べ、良い方を残して、悪い方を変えていく。履き心地も含め、フィットするものを見つけていきます」(下山さん)
この作業、実際にやってみるとなかなかの集中力を要すものだと感じました。試し履きを重ねると最初に履いたブーツの感覚も忘れてしまうため、オススメの3足程度を履き比べてベストを決めるのが一般的だそうです。
取り寄せることも考えると早めの購入が賢い
また、当然ぴったりのサイズが店にないこともあります。その場合は他店舗から取り寄せることもあります。
「試し履きしていただきブーツの形は合っていてもサイズがないというときは、他店舗から取り寄せということも可能です。ただ、時間がかかることもあるので、スキー場に行く予定がある方は、早めにご来店いただくことをオススメします」(下山さん)