春の足音が聞こえると、色々な花の開花状況をチェックしソワソワする人が多くなってきます。そんな人達の間で人気が高いのが、春先に一斉に咲き、その後地上部を枯らし来年の春まで顔を出さない『春の妖精』とも呼ばれるスプリング・エフェメラル。
はかない植物として人気を博すスプリング・エフェメラルですが、他の樹木や植物が生い茂る前に成長し日光の養分を地下茎などに貯め、土の下で休眠状態となる戦略を取ることで、他の植物との競争を生き抜く、ちゃっかり屋さんでもあります。
園芸品種で庭に植えられている花もありますが、今回は山野草を名所と共にご紹介したいと思います。
濃い色の花をうつむき加減に咲かせる 【カタクリ】
以前は片栗粉の原料として使われていたカタクリですが、効率化の点などから時代とともに使われなくなり、現在市販されている片栗粉の多くはジャガイモ(馬鈴薯)を原料としたものです。
北海道から九州に分布し、3月~5月頃になると10~15センチの茎の先に3~4センチの花をうつむき加減に咲かせます。花色はほとんどが紫ですが、時々白色や黄色のカタクリは珍しいためインスタグラムでも人気です。
新潟県は南魚沼市六日町の群生エリアをはじめ名所が多くあります。また栃木県のみかも山、東京からだと練馬区の清水山の森、瑞穂町のさやま花多来里の郷(さやまかたくりのさと)でも見ることができます。
菊のような花がインパクトがある 【アズマイチゲ】
アズマイチゲは北海道から九州の山地に自生し、花径3~4センチ、茎の高さは15~20センチの野菊に似た花を咲かせます。
観察できる場所が多いアズマイチゲですが、カタクリなどの他のスプリング・エフェメラルと一緒に見られる場所があり、カタクリも有名な栃木県のみかも山や、岡山県美作市の河会山野草群生地などで見ることができます。また公園や里山で咲いていることがあるので探してみて下さい。
清楚な花が咲く群生は圧巻 【ニリンソウ】
ニリンソウはガーデンニングに取り入れる人がいるほどポピュラーな花です。3~5月に15~30cmの茎の先に直径2センチほどの花を二輪、もしくはそれ以上咲かせます。北海道から九州まで分布し山菜として食用もされます。
長野県の上高地、東京都の赤塚公園などで群落が見られますが、他にも庭先や、公園、神社などの一角に植えられていることもあります。
小さくて儚い花が可愛い 【セツブンソウ】
2月から3月の節分の頃に咲くセツブンソウは、春を告げる花として人気がある日本の固有種です。本州の関東、中部、近畿、中国地方に分布し、5~15cmの茎の先に1~1.5cmセンチほどの小さな花を咲かせます。
小さい花がかなり低い位置で咲くので、地面スレスレにかがみ込んで撮影時に思わず息を止めてしまう花でもあり、その撮影の大変さからか、こちらもインスタ上で人気のある花です。
町内に群生20カ所以上あり自生地も40箇所以上ある広島の総領町や、埼玉県の小鹿野町で見ることができます。