オスのナナフシは超レア!
「エダナナフシやコブナナフシは雌雄がいるんですが、よく見かけるナナフシモドキは、ほぼ全てメスなんです。ナナフシモドキのオスはとても珍しくて、たまに発見されると新聞に載るほど。他にはトゲナナフシもほとんどメスしか見つかりません。これらのナナフシはメスだけで単為生殖します」(中峰館長)。
また、ナナフシの卵はちょっと変わっていて、植物の種にそっくり。卵のときから擬態の名手なんですね。
枝の上から地面にぽろぽろと産み落とすと、アリがタネと間違えて運んでいくこともあるそうです。
ところで昨秋、「飛べない昆虫・ナナフシの長距離分散の痕跡を遺伝解析で発見」というニュースが流れました。神戸大学などの研究チームが発表したもので、ナナフシモドキの全国的な遺伝構造を調査した結果、遺伝子型の分布パターンから、鳥による長距離分散の可能性が高いという研究結果を得たそうです(※)。
昆虫の擬態は、捕食者にみつかりにくいように進化したものですが、実際のところ、ナナフシはヒヨドリによく食べられているそうです。
ナナフシの卵は殻が非常に丈夫で、鳥の消化管を通っても、ある程度は消化されずに排泄されるのだとか。
ナナフシは昆虫でありながら飛べない種類も多く、移動能力は低い昆虫なのですが、もしかすると自分の命と引き換えに、子孫たちを遠くに運んでもらっているのかも?
いろいろと謎の多い昆虫ですが、昆虫ファンには根強い人気があります。まずは昆虫館を訪れて、研究してみませんか。
【参考】
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2023_10_11_01.html
【取材協力】
■中峰 空(なかみね ひろし)
箕面公園昆虫館館長。
1971年奈良県吉野郡生まれ。博士(農学)。カマキリモドキの分類が専門。
■箕面公園昆虫館