2人の植物学者の植物への愛と知を感じる
万物を知ろうとする本草学にとって、そのものの情報を記録し伝達するための精細な図は欠かせませんでした。牧野富太郎も精緻な植物画を多数描いたことで知られています。
牧野が描いた植物図(高知県立牧野植物園蔵)の写真パネル、多大な影響を受けた『植学啓原(けいげん)』、牧野が手がけた『日本高山植物図譜』など60点を展示。精緻で美しい植物画からは、植物に対する真摯なまなざしが感じられるでしょう。
今回の展示で見逃せないのは、牧野富太郎が西尾市出身の植物研究者である名倉誾一郎(なぐらぎんいちろう)に宛てた手紙。採集した植物を送ってくれたら鑑定すると申し出、標本の作製方法やサイズなども細かく記されています。実際に名倉が送った植物標本(東京都立大学牧野標本館蔵)や、その鑑定結果を記した書面も展示され、植物に飽くなき情熱を注いできた2人の交流の一端を垣間見ることができます。
また、独学で植物研究に打ち込んだ、地元の植物研究者である誾一郎の業績も紹介されています。
2024年2月10日(土)13時30分からは、この企画を担当した学芸員の上野加耶子さんによる展示解説も行なわれます。
牧野富太郎が生涯をかけて向き合った植物の世界にふれ、2人の植物学者が交わした手紙からそれぞれの人柄に思いを馳せてみるのも楽しいかもしれません。
【イベント情報】
■ 植物への恋文(ラブレター) ~本草書から牧野富太郎の手紙まで~
開催日:2023年11月18日(土)~2024年2月12日(月)
会場:西尾市岩瀬文庫(愛知県西尾市亀沢町480)