とっても神秘的なクラゲですが、なかには幻想的に光る種類もいます。自分で光るなんて人間からしてみれば、なんとも「へんないきもの」ですが、その美しさにはついつい惹かれてしまいます。光るクラゲの種類や光る仕組みについてクラゲの飼育・展示で知られる鶴岡市立加茂水族館飼育課係長・池田周平さんにうかがいました。
クラゲが光る方法には2種類がある
「一口に光るクラゲといっても、大きく分けると反射して光るクラゲと自ら発光するクラゲに分かれます。反射して光るクラゲは有櫛動物の仲間で、カブトクラゲ、ウリクラゲ、チョウクラゲなどがいます。発光するクラゲにはオワンクラゲ、ハナガサクラゲ、カギノテクラゲなどがいます」(池田さん)
ちなみに、有櫛動物(クシクラゲ類)は傘を持つクラゲ類とは異なり、ウリクラゲのようにウリや兜、風船のような形をしています。
【DATA】
ウリクラゲ
分類 有櫛動物門 無触手綱 ウリクラゲ目 ウリクラゲ科 ウリクラゲ属
学名 Beroe cucumis
櫛板に反射して虹のように光る【カブトクラゲ】
たとえば、カブトクラゲはその名の通り、兜に似た形をしています。大きさは10cm程度で、光が当たると虹色に光る特性があります。
「カブトクラゲは光を反射する有櫛動物です。体に繊毛の束でできた櫛板が並んでいて、それを動かすことで泳ぐことができます。櫛板を動かした際に、照明の光を反射して光って見えるんですね」(池田さん)。
とても美しく、いつまでも眺めたくなるクラゲです。
【DATA】
カブトクラゲ
分類 有櫛動物門 有触手綱 カブトクラゲ目 カブトクラゲ科 カブトクラゲ属
学名 Bolinopsis mikado
緑色に光るその招待はタンパク質【オワンクラゲ】
一方、発光するタイプのクラゲとしてはオワンクラゲがいます。こちらもその名の通り、お椀のような形をしています。
「オワンクラゲは体内で青色に光るイクオリンというタンパク質と、緑色に光る緑色蛍光タンパク質(GFP)を持っています。イクオリンがエネルギーを吸収し、放出された青色蛍光をGFPが受けて緑色に光るという仕組みになっています。つまり、GFPは自力で発光しているわけではなく、イクオリンの光を受けて蛍光を発します」(池田さん)。
【DATA】
オワンクラゲ(ヴィクトリア)
分類 刺胞動物門 ヒドロ虫綱 軟クラゲ目 オワンクラゲ科 オワンクラゲ属
学名 Aequorea victoria