みなさんは、「ONSEN・ガストロノミーウォーキング」を知っていますか?
それは、観光地を歩きながらご当地グルメと温泉を満喫できるウォーキングイベント。全国各地で開催され、その充実の内容と参加者の満足度の高さから、今注目を集めています。
今回は、2023年9月23日に鳥取県湯梨浜町で開催されたこちらのイベントに参加して、その人気の理由を探ってみました。
そもそも「ガストロノミー」のウォーキングって何?
まずこのイベント名を聞いたときに、「『ONSEN』はわかるけど、『ガストロノミー』のウォーキングって一体?」と疑問に思う人も多いのでしょうか。「ガストロノミー」って、日本人にはあまり馴染みのない言葉ですよね。
これはフランス語で、「美食学」を指す言葉。つまりこのイベントは、「温泉&美食ウォーキング」ということになります。
美食ウォーキングと謳うのですから、もちろんイベントはグルメにこだわった内容に。ウォーキングコースの道中には、おいしいご当地グルメが食べられる休憩スポット「ガストロポイント」がいくつも設置されていて、地元グルメや地酒を堪能できるようになっています。
さらに、ゴールした後には、温泉入浴券のプレゼントも! 歩いたあとに温泉で体も癒せる、まるで旅行パッケージのようなウォーキングイベントなのです。
採れたてのしじみ汁を飲んでからスタート
今回参加した鳥取県湯梨浜町の「ガストロノミーウォーキング」の舞台は、鳥取県のほぼ中央に位置する風光明媚な湖、東郷湖。羽衣伝説が残り、山陰八景にも数えられる美しい場所です。
受付会場は、「中国庭園・燕趙園」の広場。受付を済ませると、スタッフの方からウォーキング用のポーチ、コースマップのついたパンフレット、それから特製のおちょことビンゴカードをいただきました。
今回のウォーキングは、湖をぐるっと一周して、この会場へ戻ってくるコースとなっています。東郷湖は一周12kmもあるので、最初の3kmだけはバス移動。そこからの残り9kmが歩くコースとなるようです。
バスに乗り込み、降りた先のスタート地点にあったのは、第一のガストロポイント。
なんとさっそく、東郷湖の鬼しじみを使ったお吸い物と、地酒「千代むすび」の純米吟醸をいただきました。
まだバスに乗っただけでなにも歩いていませんが……東郷湖を眺めながら、さっそくしじみ汁をいただきます。
東郷湖で採れる「鬼しじみ」は日本一の大きさといわれるほど大きく、食べ応えも抜群。しじみの旨味が濃くしっかりと感じられました。そしてこの濃厚なしじみ汁に、「千代むすび」の日本酒が合うんです!
目の前の東郷湖で採れたしじみをいただいているなんて、究極の地産地消という感じがしますね。
道端に転がる〝謎のジャガイモ〟
さて、食べ終わったら、いよいよ「おいしいものウォーキング」のはじまりです!
まずはマップを広げて、コースを確認します。ガストロポイントは七カ所あって、カニや和牛もあるようです。ご当地のコース料理を、歩いて見つけていくような感じですね。
ウォーキングは、参加者が集団で固まって動くのかと思っていたのですが、これが完全にバラバラでびっくり。自分のペースでゆったり湖を散策していけるみたいです。
湖の上には、しじみ漁に使うのであろう船が何隻も浮かんでいます。マップを片手に歩いていると、陽の光がきらきらと反射する湖の上を、水鳥が飛んでいくのが見えました。きれいな景色を見ながらのウォーキングはとても気持ちがよく、心が洗われるようです。
湖には、ところどころに謎の棒が立っていました。船の目印か何かかな、と思っていたのですが、道中に立っていたスタッフの方が「これはうなぎのしかけなんですよ」と教えてくれました。
一般的にうなぎは海で生まれ、川で成魚になる生き物です。そのため淡水の湖にはいないはずですが、そういえば、うなぎで有名な浜名湖も湖ですよね。
なぜ湖にうなぎがいるのか。少し考えてみると、この東郷湖も浜名湖も、海水と淡水が入り混ざった汽水湖であることに気がつきました。
うなぎは稚魚である間、一定期間を汽水域で過ごし、ある程度大きくなると、淡水域に移動します。汽水湖は海と川両方の役割を持つので、うなぎが育つにはぴったりな環境といえますね。
そんなことを考えながら湖沿いを歩いていると、ふと、道になにか落ちているのを見つけました。
……ジャガイモ?
スーパーの帰りにうっかり落としたみたいな感じで転がっていますが……。ここはどう考えてもスーパーの帰りに通るような道には思えません。
一体なぜ……と、かがんでよくよく見てみると、どうやらこれはジャガイモではなく、まるいキノコだとわかりました。
そしてあたりを見渡すと、このほかにも同じようなキノコがあちこちに生えています。
気になってスマホで調べてみると、「クラマノジャガイモタケ」というキノコがヒット。このキノコがそれなのかと言われると自信がありませんが、そもそもそんなジャガイモみたいなキノコが存在していたことに驚きます。
しばらくキノコに夢中になっていると、他の参加者の方に「拾い食いしたらお腹壊すよ~」と声をかけられてしまいました。
クラマノジャガイモタケの食毒は不明。ひとまずここは、野生のガストロポイントはスルーして、そのまま先へと進みます。