アウトドア活動をするとき、天気のよしあしはおおいに気になりますが、秋冬シーズンの場合、それ以上に注意したいのが気温や風の強さです。どんなに晴れていても、気温が低かったり、強風が吹いていたりすると、思いどおりの活動がしにくくなってしまいます。
そこで、安心して行動するためにも、気温や風についての基礎知識を身につけておきましょう。標高や風速の違いなどでどんな影響が生じるのか、山歩きの際に知っておきたい基本を、登山&キャンプのベテランである打越俊浩さんに教えていただきました。
市街地の気温がわかっても山には当てはまらない
まず、気温については、テレビニュースやスマホアプリで毎日の予想気温を知ることができますね。「ただ、それらは多くの場合が市街地の気温であって、山の気温にはそのまま当てはまりません」(打越さん)。予報を見て、暖かそうだからと思って外出したら、予想外に寒かったということはありがちなことですが、とくに、山の場合は市街地よりも標高が高いので、当然、市街地の気温よりも低くなるわけです。
山の気温を知る目安としては、「標高が100m上がると気温は約0.6℃下がる、と言われています」(打越さん)。例えば、人気の高尾山の標高は599mなので、東京の予想最高気温が10℃だとすると、高尾山の山頂はそれよりも3℃以上低くなると考えられるわけです。
風が強ければそれだけ体感温度も低くなる
また、寒さを感じるのは、気温だけでなく、風も大きな影響を与えます。気温がそれほど低くなくても、風が吹くことで寒さを感じることがありますが、これがいわゆる「体感温度」というものです。
風と体感温度の関係は、「風速1mで体感温度は1℃低くなる」(打越さん)そうです。つまり、実際の気温は5℃でも、風速が5mになると体感温度は0℃になるので、かなりの寒さを感じることになります。そして、標高が高くなれば気温は下がりますし、加えて風が強いとなれば、さらに寒さは増すわけです。そのため、「たとえ低山であっても、冬の登山では寒さ対策は非常に重要になります」(打越さん)