スキーシーズンに向けての準備術を紹介してきましたが、今回は応用編。ゲレンデでのスキーではなく、ゲレンデ外を自由に滑る「バックカントリースキー」の世界をご紹介します。
バックカントリースキーとは、簡単にいうと人の手が入っていない雪山を滑るというもの。大自然が相手なので能力や知識、経験が必須の世界ですが、圧雪されていないフワフワのパウダースノーを滑れる、スキー場では味わえない冒険体験ができるなど、魅力にあふれたジャンルです。
今はスキー場で滑ることしか考えていないという人も、バックカントリースキーの世界を知れば、今後のスキーライフの目標が変わってくるかも。雪山好きの人はもちろん、一般スキーヤーの方にもぜひチェックしていただきたいです。
「バックカントリースキーはレベルが高そうですが、必要な道具を揃えたり、ガイドツアーなどを活用すれば、それほど敷居が高いものではありません」。そう語ってくれたのは石井スポーツ神田本館の下山 真さん。ご自身もバックカントリースキーを楽しんでいるというベテランに、通常のスキーとの違いやオススメのアイテムなどを教えてもらいます!
ブーツの種類はざっくり2種類、歩く頻度でセレクトする
バックカントリースキーも通常のスキー同様、ブーツ選びが肝になると下山さんは話します。
「ついついスキー板から見てみたくなるんですが、バックカントリーの装備を考えるうえでブーツが一番大事。目的によって選ぶべきものが変わってきます」
まずはゲレンデのスキーと、バックカントリースキーを兼用したい人向けのブーツから紹介してもらいましょう。
「バックカントリーに対応したブーツは、シェル部分の厚みを薄くするなどして軽量化が図られています。さらに、歩きやすいようにウォークモードが搭載され、可動域が通常のスキーブーツより広いのも特徴です。このタイプはゲレンデでのスキーとも兼用できるもので、滑りと歩きの比率が7:3くらいの人にオススメです」(下山さん)
見た目は普通のブーツと見分けがつかないほど。シェルが薄くなったといっても、しっかりしたつくりで安定感を感じました。ただ、持ってみると確かに軽くてびっくり。SALOMON(サロモン)やK2(ケイツー)などおなじみのメーカーからも専用ブーツが登場しているとのことで、バックカントリースキー人気がうかがえます。
さらに、もっと“歩く”ことに特化したブーツもあります。「ツアー用」はそのビジュアルからして、ゲレンデ兼用タイプよりもさらに軽量化された印象です。
「ツアー用はより可動域が広いです。そして、さらに軽さも追求。滑りと歩きの比率が5:5くらいの人なら、このタイプが向いています」(下山さん)
ツアー用はイタリアのSCARPA(スカルパ)のブーツが有名です。なるほど、かなり軽い! スキーブーツにこんなに種類があるなんて知りませんでした。さっそく、バックカントリースキーの奥深さを思い知りますね。
山を登るためにかかとが上がるビンディングを装着
次に見るべきはビンディング(金具)です。バックカントリースキーは、ビンディングもゲレンデ用よりも軽いのだそう。登る、歩くという動きがしやすいことが特徴ですが、なんといっても“かかと”が最大のポイント。クロスカントリーのビンディング同様、かかとが上がるつくりになっています。
「バックカントリースキーでは、現在、テックビンディングというビンディングが主流になってきました。ウォークモード、滑るモードを切り替えられるなど、通常のゲレンデ用より機能が多いです。かかとの固定の方式などにより、タイプも価格も変わってきます」(下山さん)
今までゲレンデ用のビンディングしか知らなかったので、かかとが上がるタイプはかなり衝撃的でした。確かにこれなら歩きやすそうです。
「テックビンディングじゃないと行けないような山もあります。もちろんゲレンデも滑れるので、バックカントリースキーに興味が出てきそうで迷っているという人には、最初からこちらのビンディングを選ぶという選択肢もあります」(下山さん)
将来、山スキーに目覚めるかも! という人はこちらのビンディングも視野に考えていきたいですね。