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「衝撃のアウトドア本」発掘レビュー! STRANGE OUTDOORE BOOK vol.06『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』

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殺してしまった命は無駄にしない

そして本書の一番の読みどころが第3章の「ごちそう雑食記」である。3章にしてようやく、タイトルの「いきもの獲って食べてみた日記」が始まるわけだ。ドジョウ丼、小魚の石ころステーキ、ザリガニの味噌汁、カミキリ寿司などなど、料理名を目にしただけで引き返したくなるものがズラリ。それぞれの調理&実食の様子はYouTubeチャンネルの動画ともリンクしているので、前に進む勇気のある方はぜひ視聴してみていただきたい。

おそらく、ホモサピ氏の辞書には「偏見」という文字がないのだろう。生き物は大切にと言うのは簡単だが、生き物がこちら(人間)を大切にしてくれるとは限らない。可愛い生き物を可愛いと感じるのは当然のこととして、それが食べられそうなら食べてみる。

ホモサピ氏はこうも言う。

〈まだ子どもの個体はできるだけリリースすること。そして捕獲する過程で殺してしまった生き物はできるだけ食べること。生態系に悪影響を及ぼさない範囲で捕獲して、殺してしまった命は無駄にしない。あんまりえらそうなことは言えないけど、それを守るのが、人間として大事な線引きな気がする〉   

奇しくも「線引き」という言葉が出てきたが、ホモサピ氏にとって「生き物を愛でること」と「食べること」の間には線が引かれておらず、シームレスにつながっている。そこにぼくは誠実さを感じた。可愛いウサギだってひと皮剥けば美味しく食べられるし、猛毒のあるコブラだって毒さえ抜けば食べられる。昔から「♪ウサギ美味し、あの山 コブラ釣りし、かの川」と言うじゃないか。

                           

■『地球は食べ物 いきもの獲って食べてみた日記』(2022年7月刊/KADOKAWA)

https://www.amazon.co.jp/dp/4048974467


評者:とみさわ昭仁(とみさわあきひと)

1961年東京生まれ。フリーライターとして活動するかたわら、ファミコンブームに乗ってゲームデザイナーに。『ポケモン』などのヒット作に関わる。2012年より神保町に珍書専門の古書店「マニタ書房」を開業。2019年に閉店後は、再びフリーライターとして執筆活動に入る。近著に『レコード越しの戦後史』(P-VINE)、『勇者と戦車とモンスター』(駒草出版)など。

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