「やけど虫」と呼ばれるアオバアリガタハネカクシ
日本全国に分布する体長7mm程度の小さな虫。水田や河川、湖沼周辺など、比較的湿気がある場所の、草むらなどに生息しています。小さな前翅の下に、後ろ翅を折りたたんで隠すようにしているため、ハネカクシという名前が付きました。
「ハネカクシの仲間は国内に2300種もいて、専門家でないと種類の判別が困難ですが、アオバアリガタハネカクシは非常に見分けやすい特徴をしています。体液に毒があるタイプの虫って、ツートンカラーが多いんですよ」(西海さん)
アオバアリガタハネカクシは体液にペデリンという物質を含み、それが肌につくとヒリヒリする痛みやかゆみ、水ぶくれを伴う皮膚炎を引き起こします。治るまでの経過のたどり方がやけどに似ているので「やけど虫」とも呼ばれるそうです。
「小さくて気がつきにくく、さらに体がやわらかいので、腕を這われたりすると振り払おうとしてつぶしてしまうことがあります。つぶしながら肌の上を引きずるため、痕がみみずばれのようになります。振り払うのではなく、息を吹きかけるなどして風で飛ばすといいでしょう」(西海さん)
光に向かって飛んでくることがあるので、夜の自動販売機などで見つかることも。
体液が肌についたら、すぐに水で洗い流すのはこれまでに紹介してきた虫と同じ。抗ヒスタミン軟膏を塗ってもいいですが、症状がひどい場合は病院へ行くようにしましょう。
「皮膚についた毒を、ちゃんと水で洗い流してあげることが大事です。水がない場合、拭き取ることになるかもしれませんが、毒を拭きのばさないよう気をつけてください。原則的には水洗いです」(西海さん)
今回ご紹介した虫たちは、鳥などの捕食者から身を守るために毒をもっています。もし見かけたら、毒があるからこそ生き抜いてきた種のたくましさを感じながら、そっと観察してみてはいかがでしょうか。
【取材協力】
■一般社団法人セルズ環境教育デザイン研究所