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咬まれた痕がパンパンに腫れることも! 身近な吸血生物の〝生態と対策〟【vol.04 アブ・ブユ・ヌカカ】

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  • 海辺のキャンプ場
  • ヌカカ
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  • アカウシアブ

キャンプや釣りなどのアウトドアでよく出会う危険生物に、アブ、ブユ、ヌカカがいます。

どれも蚊と同じハエ目の昆虫で、自然豊かな場所に多く生息し、哺乳類の血をエサとする種類がいることが共通しています。咬まれたり刺されたりするとその唾液が体内に入り、かゆみや腫れを引き起こします。

これらの吸血生物の生態や対策について、野外における危険生物対策研究や指導を専門に行う、一般社団法人セルズ環境教育デザイン研究所の代表理事所長、西海太介(にしうみだいすけ)さんにお話をお聞きしました。

皮膚を切り裂いて吸血する大きなウシアブ

日本に約100種類が生息するとされ、姿も大きさもさまざまなアブ。危険生物とされるのはそのなかのごく一部です。

「ハナアブと呼ばれる花粉を食べるアブもいて、それはむしろ益虫です。花粉を媒介し、農業にも使われています」と西海さん。

人から吸血するアブはおもに5種類。なかでも代表的なのが、体長17~25mmほどにもなるウシアブです。日本全国に分布しており、6~9月ごろに多く発生します。

「アブのなかでもキャンプで出会うことの多い種類で、大きなハエのような見た目です。名前はウシの血を吸うことに由来します。さらにひとまわり大きいアカウシアブという種類もいて、こちらはキイロスズメバチのような見た目をしています」(西海さん)

ウシアブやアカウシアブは、熱や二酸化炭素などを検知して人間に接近すると、鋭い口器で皮膚を切り裂き、出てきた血を吸います。その際にかなり強い痛みがあるとのこと。さらに唾液へのアレルギー反応が、かゆみや腫れを引き起こします。

「生きるために必ずしも人を刺す必要のないハチと違って、これらのアブは血を吸わないといけませんから、咬もうとする積極性がより高いといえます」(西海さん)

一般的に、ハチに遭遇した場合は振り払わないほうがいいとされますが、ウシアブの場合は話が別。吸血が目的なので、振り払わないと咬まれてしまいます。では、近づいてきた虫がアブかハチかを見分けるには、どうしたらいいのでしょうか。

「見分けるには慣れが必要なので、なかなか難しいかもしれません。ハチに比べて触角が短く、顔のなかでの目の占める割合が大きいのがアブです。また、ハチの翅が4枚なのに対し、アブの翅は2枚です。虫よけスプレーに一定の効果が期待できるので、かけておくのをおすすめします」(西海さん)

いざというときに被害に遭わない行動をとれるよう、危険生物を写真などで事前に認識しておくことも大切かもしれません。

小さいからと侮るなかれ! アブよりも腫れるブユ

ブユは「ブヨ」「ブト」などとも呼ばれる、体長2~4mm程度の小さな虫。全国に約70種類が生息し、よく人に被害を及ぼすのはそのうち5種類ほどです。

渓流沿いなど比較的きれいな水がある環境で発生し、3~10月の朝夕の比較的涼しい時間帯に活動します。なかでも5~10月に活動が活発になります。

「ブユは小さいので、吸血されても気が付きにくく、咬まれているところを目撃することもあまりありません。でも、ブユのほうがアブよりも圧倒的に腫れます」(西海さん)

咬まれているときに痛みやかゆみは感じませんが、数時間から半日ほど経過すると、アレルギー性の赤い腫れやかゆみが起きるのだそうです。

「腫れの程度は個人差が大きいです。私はあまり腫れませんが、人によってはパンパンに腫れるほか、がまんできないほどのかゆみに襲われることもあります。また、重症化してズキズキとした痛みや水ぶくれなどの局所症状のほか、微熱や倦怠感などの全身症状が出たケースもあります」(西海さん)

死ぬことはありませんが、腫れがあまりにもひどい場合は、無理せず病院に行ったほうがよいとのこと。

「被害を避けるには、露出を控えて虫よけスプレーを使うといいでしょう。服にかけるのも効果的ですが、一部、服の組織を傷める場合もあるのでよく確認してから使ってください」(西海さん)

蚊だけでなく、いろいろな虫に効果がある虫よけスプレー。冬以外の季節にアウトドアを楽しむなら必ず持参したいアイテムです。

  

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