前編では伊吹らしい花々を愛で、神話由来の山頂も
伊吹山の山頂北側、9合目には、伊吹山ドライブウェイの終点となる広い駐車場があり、「スカイテラス伊吹山」という施設が建っています。
伊吹山周辺の名産品などを扱う売店と、軽食や喫茶が楽しめるカフェが併設されていて、西南側の琵琶湖を一望する展望テラスもあります。山上から下りてきて、名物の「伊吹山そば」をいただきました。
そばの味がストレートに味わえる、シンプルなかけそばをチョイスしたのですが、かき揚げそばもあります。伊吹山の麓、関ケ原で作られている宮内庁御用達の関ヶ原たまり醤油を使用した、「関ヶ原たまりの中華そば」も美味しそうでした。
23種類の薬草を粉にして丁寧に練り込んだという「伊吹薬草ソフトクリーム」も、独特の風味がくせになるお味で美味しかったです。ココでしか味わえないオリジナル商品です。
山上にある茶店でいつも買うのが、自然豊かな山麓の牧場で作られている伊吹牛乳。マイルドでほんのり甘みを感じる味わいが好きで、伊吹山に来るたびに飲みます。ちなみに、山上の茶店でも、伊吹そばを提供しています。
古くから知られる固有の品種「伊吹在来そば」
平安時代後期から鎌倉時代頃にかけて、伊吹山の中腹に開かれたお寺で修行をするお坊さんたちが栽培を始めたことが起源とされる伊吹そば。江戸時代には諸国を旅する人々の間で評判を呼び、松尾芭蕉の弟子、森川許六が「伊吹蕎麦。天下にかくれなければ。からみ大根。又此山を極上とさだむ。酒々落々の風流物。誰か是を崇敬せぬものはあらじ」と書き残しています。
2019年には、長年にわたって地域で育まれ、守られてきた特徴ある産品の名称を、地域の知的財産として保護する農林水産省の「地理的表示(GI)」に「伊吹在来そば」として登録されました。
地元で結成された「伊吹在来そばの会」が、この品種の保護育成と普及につとめており、周辺の6軒のお店でいただくことができます。
奥伊吹地域にある大久保地区にある「久次郎」では、自家栽培の「伊吹在来そば」に、同じく自家栽培の「伊吹大根」のおろしを乗せたおろしそばが人気。時期によっては、伊吹大根の漬物が添えられることもあります。