オーストラリア大陸には独特の自然があり、独特の生き物たちが生息しています。エミューもその一種です。オーストラリアの気温差のある乾燥した土地に生息していますが、とても生命力の強い鳥だとされています。そしてエミューの特徴は、鳥類でありながら空を飛べないということ。ちょっとへんな飛べない鳥エミューについて、掛川花鳥園の運営管理部課長・学芸員バード統括兼広報担当の北條龍哉さんにうかがいました。
普段はおだやかな性格で群れになって行動する
「当園には16羽のエミューが暮らし、基本的には群れで生活していますね。仲間のヒクイドリや同じく大型のダチョウと比べてもとても穏やかな性格で、普段はほとんどケンカをしません。繁殖期になると、たまに雄同士でけり合ったりする程度です。威嚇するときは首を伸ばしたり、犬のように毛をさかだてたりします」(北條さん)
エミューはダチョウに次ぐ2番目に大きな鳥類とされ、体長は高さが150~200cm程度です。ただし体重は軽くて40~60kg。
「大人が2人くらいで持ち上げることができますよ」と北條さん。
原付バイクとダッシュで張り合える
エミューはダチョウと同じく飛べない鳥です。なぜ鳥類でありながら飛べないのでしょうか。
「オーストラリアでは天敵が少なく空へ逃げる必要がなかったから翼が退化したわけです。ただし、まったく痕跡がないというわけではありません。鳥類ではダチョウに次いで2番目に大きいエミューですが、15cm程度の翼が残っています」(北條さん)
飛べない代わりに、エミューはよく歩き、走ることもあります。
「おっとりしていそうに見えますが、走ると時速30~40km/h程度になります。原付が走っているという感じでしょうか」(北條さん)
見分けるのが簡単! 十鳥十色な髪型にも注目
そんなエミューを見たらぜひ観察してほしいのが頭の羽だという。個体によっていろんな髪型をしているというのだ。
「よくお客様から、たくさんの鳥をどうやって見分けるんですか?というご質問を受けます。実はエミューの見分け方はとっても簡単です。頭をよく見てください」と北條さん。
確かにエミューの頭頂部の羽は、サラサラだったりツンツンしていたり、わけめがあったり、パーマをかけたりしているように見える個体もいます。キザに見えたり、昔のヤンキー漫画に出てきそうなエミューもいます。
「だから飼育員としては見分けがつきやすくて便利ですね。エミューのチャームポイントの一つでもあります。園にいらしたらぜひ、よく見てみてください」(北條さん)