イルカの背びれをつかんで一緒にスイム!
この生け簀の真ん中で、手を胸の前でクロスして待っていると、イルカが迎えに来てくれるそうです。
イルカが横に近づいてきたら、近い方の手の親指を下にして、背びれを優しくつかむと、一緒に泳いでくれるのだそう。
背びれをつかまれるってどんな感じなんだろう。自分にはない部位なので、想像がつきません。もし強くつかんで取れちゃったらどうしよう……。
心配している私をよそに、イルカがそっと近づいてきました。
いままでにない近距離でイルカを見たら、思ったより大きくてドキドキします。頭突きされたりしないかな……。
お姉さんに合図されて、そっと背びれをつかんでみると……なんと頼もしくて力強い背びれでしょう!
何に似ているかな。発泡スチロールかな。表面はつるつるしていて、中に何か水に浮く素材がつまっている感じがします。
イルカは泳ぐ人に合わせてスピードを変えてくれるそうです。
私は背びれをつかんだときのドキドキで、一瞬泳ぐのを忘れていたのですが、イルカがぐんと尾びれを力強くしならせて、生け簀の縁まで連れて行ってくれました。急に無重力になったみたいに、体がすいーっと運ばれていきます。
なんて賢くて優しいんだ~。
縁にたどり着いたイルカは、ご褒美に小魚をもらっていました。菩薩の目のまま、はぐはぐと小魚を丸呑みしています。
私が参加した「ドルフィンスイムコース」では、また生け簀の中央に戻って、イルカにつかまって泳ぐのを繰り返します。
一回だけでも胸がいっぱいになりますが、泳げば泳ぐほど慣れて、落ち着いてイルカと泳げるのがいいところです。
今回は編集のMちゃんも海に潜って写真を撮ってくれていたので、ちゃんと伝わる写真が撮れるように、時間内で繰り返し泳ぎました。
Mちゃん、初めての水中撮影。私は私で本気で泳ぐため、初めてのすっぴん撮影。イルカが化粧品の成分を飲んじゃったら(?)申し訳ないしね。
泳いだあとは近くの海を船で遊覧
ああ、いっぱい泳いだ! 20分くらい泳いだので、シュノーケリングセットを取って陸へと上がります。
イルカと泳ぎ終わった後は、参加者の人たちと船に乗って、スタッフさんに近くの海を案内してもらえるそうです。
無人島や漁をしているおじさん、水上バイクで遊んでいるカップルなど、普段は遠い海の上の出来事がすぐ近くで見られます。
船の帰り道、さっきまで泳いでいた生け簀が見えてきて、イルカは夜もここで眠っているんだなあと思ったら、なんだか不思議な気持ちになりました。
取材協力:ドルフィンファンタジー伊東
【プロフィール】
姫乃たま
1993年、東京都生まれ。10年間の地下アイドル活動を経て、2019年にメジャーデビュー。同年4月に地下アイドルの看板を下ろし、現在は文筆業を中心にラジオ出演や音楽活動をしている。
2015年、現役地下アイドルとして地下アイドルの生態をまとめた『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー)を出版。著書に『職業としての地下アイドル』(朝日新聞出版)『永遠なるものたち』(晶文社)など。音楽活動では作詞と歌唱を手がけており、主な音楽作品に『パノラマ街道まっしぐら』『僕とジョルジュ』などがある。
http://himenotama.com https://twitter.com/Himeeeno