最近、若者の間で注目されている「チルキャンプ」。新たなキャンプスタイルとして少しずつ確立されつつあり、今後はさらに大きなムーブメントになるかもしれません。聞き慣れない人も多いかもしれませんが、一般的に浸透して行くのはこれからです。「キャンプ」という趣味が爆発的な人気を得たいま、「チルキャンプ」が、今後スタンダードな存在になっていくことでしょう。
チルアウトを語源にしたまったりキャンプのすすめ
話を進める前に「チルキャンプって何?」と思っている人も多いはずです。まず、ここではチルキャンプについて説明しておきます。チルキャンプの『チル』とはヒップホップ用語での「chill out」を語源としています。その意味は「落ち着く」や「寛ぐ」、「まったりする」とされ、チルキャンプとは「のんびりキャンプ」と言えばわりやすいかもしれません。
では、なぜ「チルキャンプ」が若者を中心に人気になっているのでしょうか? それはインスタやSNSへのアンチテーゼ的な意味合いが込められ、昨今のキャンプスタイルは自然を楽しむのではなく「インスタ映え」や「エモい写真」をアップするためにキャンプに来ている人が多いということです。
また、高級アウトドアブランドの贅沢アイテムを並べ、マウントを取りあうことに疲弊してしまったキャンパーたちが、本来のキャンプスタイルに戻りたいと思っていることも大きく影響しているかもしれません。美味しい料理を楽しむためにBBQをするのではなく、映える写真を撮るためにBBQをする。キャンプの模様をSNSにアップするのではなく、SNSにアップするためにキャンプをするのは本末転倒と言えるかもしれません。
不便を楽しむのもキャンプ&アウトドアの嗜み
虫が嫌い、焚き火の煙が嫌、汚れるから薪を集めたくない。それでもキャンプはオシャレだし映える写真がアップできるから行く……。それもひとつの楽しみ方であり否定はしませんが、キャンプとしての本質はそこにはないような気がしてなりません。キャンプ本来の目的は「都会の喧騒を離れ、自然のなかでゆったりとした時間を過ごす」ことにあります。
雄大な自然と対峙し、風を感じ、陽光の温かさに感銘を受け、木々のざわめきに耳を澄ませる。時として厳しい自然に人間の小ささを感じ、高慢な自分をおもんばかる。キャンプの原点は自然との融合であり、どれだけシンプルに向き合えるかを楽しむもの。最近ではリビングをそのままキャンプで味わうようなスタイルが独り歩きしてしまい、利便性の追求が大きな目的になっています。