実際に野宿するときに心得ること
その中で印象的なのは、野宿には段ボールが非常に重要な道具で、開いて下に敷いて寝たり、筒型にして何個か繋げて中に入って寝たりと様々な使い方が出来るとのこと。これは、一度、沖縄の商店街のコンクリートの路上で段ボールを敷いて寝たことがあるので、凄く共感できます。また、場所としては、雨風をしのげる屋根があり、顔を洗ったり体を拭いたりすることが出来る水場とトイレがある駅舎やバス停、道の駅といった施設が最適とのことです。
最近のアウトドアブームでは、しっかりとしたテントや寝袋、調理道具をクルマに積んで、装備のしっかりとした快適なキャンプ場で家にいるのと変わりないような居心地のいい寝床で夜を過ごすことがあたりまえになってきています。
ですが本来、自然の中で夜を過ごすというのは、本書の中で紹介したような、何物からも束縛されない自由な空気を体感できる野宿が基本なのかもしれませんね。もし、野宿を体験してみたいという奇特な方がいましたら、ぜひ本書を参考に〝野宿野郎〟になってみてはいかがでしょうか。
※注意したいこととして、野宿は、場所によっては違法行為になる可能性があること、暴行を受けるなどトラブルになる可能性もあることを十分に考慮して、個人の判断で行ってください。
【データ】
■かとうちあき 著『野宿入門-ちょっと自由になる生き方-』
(2012年6月刊/草思社文庫)
https://www.soshisha.com/book_search/detail/1_1776.html
かとうちあき
1980年、神奈川県生まれ。旅コミ誌『野宿野郎』編集長。法政大学社会学部卒。在学中、就職活動はせずに旅を続けることを決意(のち、挫折)。介護福祉士。著書に『野宿もん』(徳間書店)などがある。
■評者 川田正和(かわた・まさかず)
1967年、神奈川県生まれ。香川県育ち。明治大学文学部卒。大学を卒業後、出版社に就職するもほどなくして退社。アルバイトでお金を貯めては世界各国への長期の旅を繰り返すうちに、旅行専門の本屋をはじめようと決意。書店員を経験した後、2007年、西荻窪に「旅の本屋のまど」をオープン。日本で唯一の旅行専門の本屋として国内外から注目されている。