夏休みの自由研究で、自分ひとりでは解決できなかったことはありませんか? 特別企画「ソトラバこども相談室」では、「〝ソト〟の不思議を解決します!」をテーマに、専門家の方々に素朴な疑問をぶつけてみました。「鳥編」では、日本鳥類保護連盟(にほんちょうるいほごれんめい)の岡安栄作さんにお答え頂きます。
迷わないように鳥もコンパスを持っている!?
世界で最も長い距離を移動する渡り鳥は「キョクアジサシ」と言われています。その移動距離は、8万kmにもなるそうです。そんな長い距離を、どうして迷わず渡れるのでしょうか。
「確かに、どうしてみんな迷わず、何万キロも移動できるのかと思いますよね。私たち人間は、GPSや地図などあるのでたどり着けますが、鳥はそういった道具がないのに、ほぼ同じところに着きます。その理由は、実は100%わかっているわけではないんですよ」
しかし、長い年月をかけて調査・実験した結果わかってきたこともあるのだとか。ひとつずつ教えていただきました。
「まずは、太陽の位置を見ているようです。太陽の位置と、星の位置。これで、東西南北の方向を決めているようです」

人間も、昔はそんなふうに方向を決めていたといわれていますね。人間は、考えてその方法を見つけたのだと思いますが、鳥は元々それを知っていたのだからオドロキです。
でも、曇りや雨の日はどうするのでしょう?
「次に登場するのが〝磁気〟です。どうも、鳥の体内にコンパスのようなものがあって、地球の磁気を感じ取っているみたいなんですね。それで大まかな方向を決めます」
何かすごい機能がそなわっているのではないかとは思っていましたが、まさか、コンパスがついているとは……。
「あとは、記憶です。何回か渡っているので、『このルートで行けばもう少しであの山が見えるなあ』とか、記憶と直感を使っていると思います」

ひとつの機能だけではなく色々使って旅をする
初めての渡りは、誰かと一緒に行くということですか?
「そうです。初めは親と一緒に行ったり、大人でも群れで行動したりするので辿りつけます。本能で体に組み込まれているという説をとなえている人もいます。遺伝的に組み込まれているということですね」
わかっていることは、どれかひとつの方法だけでなく、いくつかの方法や能力を組み合わせて渡っているということ。太陽や星、地磁気、記憶、本能を組み合わせて、渡り鳥は旅をしているようです。それもどれを使うかは、鳥によって違うらしいのです。
「ちなみに鳥によっては、北から南、南から北に向かうルートが違います。春先はこっちの風が吹いているけど、帰りは風向きの関係で違うルートのほうがいい、というように。風の向きが大きく関係しているみたいです」
どのようにそれを知ったのかはわかりませんが、地球のしくみとうまく折り合いをつけて生きていることに、感動しますね。