大人も子どもも楽しめるアウトドアは、ファミリーレジャーとして人気を呼んでいます。アウトドアは子どもの「コミュニケーション能力」を高め、脳の成長にとてもいい影響を与えます。
話題の書『アウトドア育脳』の著者で、これまで老若男女約16万人の脳画像を読影、解析してきた脳科学者・瀧靖之先生に、その効能と生かし方を教えてもらいました。
会話を通したコミュニケーションが脳を育てる
アウトドアレジャーは子どもの「コミュニケーション能力」を育む場としても適しています。キャンプでは手分けしてテントを設営したり、食事の準備をしたり、後片付けしたり……。人と協力し合わないとできないことがたくさんあります。瀧靖之先生によると、そこに自然と会話が生まれ、この能力が身につきやすいのだそうです。
「人は会話をすることによって、相手がどういうことを考えているのかを把握して理解し、それに対して適切に対処する方法を考えて、自分がどう思っているのかを言葉にして表します。そうやってお互い目を見て口に出してやり取りをするなかで、相互理解や共感性が生まれやすくなります。
このコミュニケーションは脳、とりわけ前頭葉の発達に不可欠なものです。これを通じて、より複雑なものに対する処理能力が脳に育まれます。とくに小学生から中学生まではコミュニケーション能力に関わる脳の前頭前野と呼ばれる領域が大きく発達する時期なので、アウトドアに連れていくといいでしょう」
とくに普段忙しくてなかなか子どもと話ができていないという人は、長い時間を密に過ごす泊まりがけのキャンプなどをぜひ活用したいところです。親子一緒に寝転び、満点の星空を眺めながら会話すれば、いつもとは違った本音が聞けたり、小さな成長に気づいたりするかもしれません。