しとしとと長雨をもたらす梅雨時のあまぐも
夏によく見られる「にゅうどうぐも=積乱雲」は、急にザーッと雨が降り出したり、突風や雷をともなうような激しい荒天をもたらしたりしますが、梅雨時によく見られる「あまぐも」は、冷たい空気と暖かい空気が押し合う力が均衡することによって、形成される停滞前線によるものです。
そのため、しとしとと長雨が続くことがよくみられます。
しかし近年は、梅雨時にもゲリラ豪雨のような降り方となることもあります。
時には台風の影響で南の海上から暖かく湿った空気が流入し、細長く伸びた積乱雲が同じ場所に停滞する「線状降水帯」が発生することも。温暖化の影響なのか、一昔前の梅雨のイメージとは、少し変化してきているのかもしれません。
雨が多い季節。アウトドア好きにとっては憂鬱な時期ではありますが、しとしとと静かに降る雨ならば、それなりに風情があるというもの。
雨に濡れていっそう美しくなるアジサイや、コケの多い森などもきれいな季節です。
気象変化に細心の注意をはらいながら、危険のない範囲で、雨ハイクを楽しんでみるのも良いかもしれません。
【プロフィール】
本稿の監修者:大矢康裕
プロフィール:気象予報士、気象予報士会CPD認定第1号。山岳防災気象予報士として活動。著書に『山岳気象遭難の真実 過去と未来を繋いで遭難事故をなくす』(山と溪谷社)