究極のサバイバルと狩猟・採集・ヒーリング
第2章からは、具体的なサバイバル術について詳しく紹介されています。
最近の気象災害を報じるニュースなどで、「命を守る行動をしてください!」という、これまであまり耳にしたことのないフレーズを聞くようになってきましたが、本書によれば、究極的な状況で生き延びるために必要な要素は以下の5つ。
1. 空気
2. 体温
3. 水
4. 火
5. 食糧
空気がなければ3分間で死に至る。体温が維持できなければ3時間で命の危険。水が得られない場合、生のリミットは3日間。
この3つは、「3の法則」と呼ばれているそうですが、自力でちゃんと「助かる」ためには、空気が無い状態は1分、体温低下は1時間、水無しは1日が限度と考えて行動するべきである、と書かれています。
空気がない状況というのはかなり特殊なので、本書ではそれ以外の4項目について、具体的なサバイバルスキルが紹介されています。
もう一つの「現代人が忘れてしまったもの」とは
第1章で、アウェアネスを取り戻すことについて書かれていますが、最終章も、現代人が忘れてしまったもののことが取り上げられています。
それは「ナチュラルメディスン」。
ネイティブアメリカンの教えから、5つのナチュラルメディスンについて解説。ストレスの多い現代人には、自然の力を借りるヒーリングは、救いになるものかもしれません。
身近な野草の活用方法なども紹介されており、ハードなサバイバルとかはちょっとムリ、と思う人でも、このあたりからなら実践してみることができるかもしれません。
さて私も、本書を片手にちょっとウラヤマへ野草を摘みに行ってみようかな、などと……。
【データ】
WILD AND NATIVE 川口 拓 著『ワイルド・クエスト-ネイティブアメリカンのフルサバイバル術』(2023年6月刊/誠文堂新光社)
https://www.seibundo-shinkosha.net/book/hobby/80198/
WILD AND NATIVE 川口 拓(ワイルドアンドネイティブ かわぐち たく)
自然学校「WILD AND NATIVE 」主催。2013年、一般社団法人「危機管理リーダー教育協会」を設立。CMLE災害対策インストラクター養成トレーナー、CMLEブッシュクラフトインストラクタートレーナー、自衛隊危機管理教官、自衛隊サバイバル教官。著書に『ブッシュクラフトー大人の野遊びマニュアル』『民間人のための戦場行動マニュアル』など
■評者 根岸真理
1961年、神戸市須磨区生まれ。1歳前に親に連れられて六甲登山デビュー。アルパイン歴30年の自称アウトドアライター。神戸新聞総合出版より『六甲山を歩こう!』ほか六甲山関連本を4冊上梓。神戸新聞「青空主義」欄に月イチで六甲山情報を執筆中。