同じ場所に何人かでいても、決まった人だけ蚊に刺されたり、あるいは全然刺されなかったり……。そんな経験をしたことはありませんか?
刺されやすい人の血は、蚊にとっておいしいのでしょうか。
もし蚊を引き付ける要素がわかれば、逆に刺されにくくすることも可能ではないでしょうか。
今回は、蚊の刺されやすさに関するさまざまな疑問について、「KINCHO」の商標でおなじみの大日本除虫菊株式会社・宣伝部の笹岡さんに伺ってみました。
蚊はどんな人に寄ってくる? 好かれる体質ってあるの?
まず、蚊は人間の何に寄ってくるのでしょうか。私たち人間が対象物を認識する場合、通常は目でそれを行い、時に耳、距離が近ければ鼻などを使います。
でも昆虫の蚊は、人間とはちょっと異なる方法で血を吸う生き物を探し当てます。
「蚊は、人の体温や汗のニオイ、吐く息に含まれる二酸化炭素などの誘引源を、触角で感知して人に寄って来ます。なので、こういった誘引源が多い人=刺されやすい人ということになります」と笹岡さんは言います。
蚊はまず遠くから二酸化炭素を検知し、近づいてからニオイを感知、さらに近づくと体温を頼りに人間に向かってきます。
なので、暗闇などに隠れていても見つかってしまうというわけですね。
2014年に流行したデング熱を媒介するヒトスジシマカの駆除が、代々木公園で行われたことがありました。じつはこのとき、ドライアイスを使って蚊をおびきだし、一斉に駆除していたといいます。これも、二酸化炭素に寄ってくる蚊の習性をうまく利用した方法です。
では、ほかに蚊を引き付けやすい要因というのはあるのでしょうか。
笹岡さんによると、「蚊は、黒などの濃い色によく誘引されるので、黒っぽい服を着ている人も刺されやすい傾向にあります」とのこと。
つまり、蚊は一部視覚でも、人や動物を認識しているということになります。なお、黒い服は、ハチが攻撃対象と認識しやすいことでも知られていますね。
海遊びや山登り、キャンプなど、屋外でのアクティビティが楽しい夏ですが、出かける際に色が薄いゆったりした服を選ぶだけでも刺されにくくなります。簡単にできる虫対策として、ぜひ取り入れてみてください。
お酒を飲むと刺されやすくなるというのは本当?
「お酒を飲むと体温が上がり、呼吸量も多くなるので、刺されやすくなると言われています」と笹岡さん。
すでに伺ったとおり、汗の臭い、体温、二酸化炭素という3要素に蚊が引き付けられるなら、お酒を飲むと蚊に刺されやすくなるという話には納得がいきます。
キャンプの夜などに、焚き火や星空を眺めながら飲むお酒はおいしいですが、虫よけなどの蚊対策を万全にしてから行いたいものです。
「お酒を飲んだ人以外にも、汗っかきの人、スポーツをしたあとの人、大人に比べると体温が高い赤ちゃんや、小さな子どもも刺されやすい傾向にあるんです」とのこと。
大人はともかく、小さな子どもにはとくに周囲が気を付けて、刺されないようにしてあげたいものです。また、体温が高い妊婦さんも、蚊に刺されやすくなるので十分な注意が必要です。