日本全国、探せばさまざまな生態の生き物たちがいます。求愛行動が面白かったり、カエルなのに木の上に卵を産んだり。そんなちょっと変わっていて、面白い両生類・爬虫類について、爬虫類研究家iZoo(イズー)園長・KawaZoo(カワズー)館長の白輪剛史さんにうかがいました。
尻尾フリフリでメスにアピール 【アカハライモリ】
「イモリはイモリ科の生き物で、両生類です。名前の似ているヤモリは爬虫類になります。アカハライモリは黒褐色や黒色をしていて、お腹は朱色に黒色の斑紋が見られます。平地から山地にかけての、水田や池などに生息しています」
「繁殖期になるとオスがユーモラスな動きをすることでも知られています。尻尾を小刻みにゆらゆらさせてメスに必死にアピールするのが特徴です。繁殖期の5~6月頃に水辺に行くと、そうした行動を観察できるかもしれません」
■アカハライモリ
■有尾目 イモリ科、両生類
■分布:本州、四国、九州、その周辺の島々
木の上に泡状の卵塊を産み付ける 【モリアオガエル】
「モリアオガエルは平野部から山間部の森林や樹上で生活します。オスは『カララ』と鳴くのが特徴です。体色は緑色で、背中や足に斑紋がある個体もいます。水辺の側の木の上に、約3000個の卵を含むメレンゲのような泡状の卵塊(らんかい)を産むというのも、モリアオガエルの大きな特徴です。メスとオスが木の上で産卵と体外受精をしたあとに、オスが粘液と卵をかき回して、白い泡を作り上げます」
「オタマジャクシは孵化するとそのまま下の池や沼へと落ちていきます。万一、キャンプ場の近くて見かけたら温かく見守ってあげてください」
■モリアオガエル
■無尾目 アオガエル科 アオガエル属、両生類
■分布:本州、佐渡島
色が変わって繁殖期をお知らせ 【ニホントカゲ】
「ニホントカゲは15cm~25cmほどのトカゲです。よく人の生活空間にいるしっぽの長い生き物をニホントカゲと思いがちですが、じつはニホンカナヘビであることが多くあります。ニホントカゲとニホンカナヘビは見た目が似ていますが、体が細い方がカナヘビです。一方、ニホントカゲは太めで艶がある体をしています」
「ニホントカゲは成長の過程や繁殖期などに体の色が変わる、ちょっと変わった生き物です。成体は全身が茶褐色ですが、幼体は黒い体に黄色いラインが入り、さらに尻尾はきれいなコバルトブルーとなっています。また、繁殖期のオスは顎や喉にオレンジの婚姻色が現れます」
■ニホントカゲ
■有鱗目 トカゲ亜目 トカゲ科、爬虫類
■分布:本州、四国、九州、その周辺の島々