アウトドアにおける植物かぶれは接触皮膚炎といわれ、刺激性とアレルギー性があります。その原因となる植物はさまざま。今回は対処法や使用する薬について、アウトドア医療のプロで救急医の稲垣先生に聞いてみました。
かぶれる植物を知って避けることが大切
ノイバラ(野バラ)、タラノキ(タラの芽の木)、イラクサなどは接触後すぐに症状があらわれる刺激性の接触皮膚炎を起こし、ウルシ科全般は、アレルギー性接触皮膚炎を引き起こす主な植物です。
いちばんの対処法は、アウトドアにおいてそれらのかぶれる植物を知っておくこと。むやみに植物に触らず、避けることです。服装はなるべく肌の露出を抑え、長ズボンやタイツを着用しましょう。そして、かゆみの出る長芋などの調理や、銀杏拾いのときなどにはビニール手袋をするなどの対策をとるとよいでしょう。
主な治療法はステロイド外用薬の使用
もしかぶれてしまった場合、治療の第一選択はステロイド外用薬の使用です。ステロイド外用薬は、処方薬と市販薬があり、市販のステロイド外用薬は3つの分類があります。
【01】ステロイド成分のみ
【02】ステロイド成分+鎮痒薬
【03】ステロイド成分+抗菌薬
植物かぶれには【01】か【02】を。かゆみが強い場合は【01】+抗ヒスタミン薬(第2世代抗ヒスタミン薬)の内服を考えます。
そして市販のステロイド外用薬の強さには、5つのランクがあります。
強い順に、ストロゲスト→ベリーストロング→ストロング→ミディアム→ウィークとなっており、具体的な商品名をあげるとストロングなら「リンデロンVs」や「ベネベートクリームS」など、ミディアムなら「リビメックスコーワ軟膏」や「ロコイダン軟膏」などです。
もし、かぶれた部分が顔面だった場合は、ミディアム以下を。顔の皮膚は血流がよく、薬剤の吸収がよいからです。
「外用薬を塗ったのに効かない」という場合、塗る量が足りていないことがあります。目安として、一般的なチューブ(口径5mm)の場合、人差し指の先から第一関節まで薬をのせた量が、手のひら2枚分の面積に塗るのに相当すると言われています。べとべとするくらいが適量です。