蚊はどんな風に成長する? どうやって冬を越すの?
蚊が卵を産みつける場所は、どこだか知っていますか? 水辺だということは、恐らく誰もが聞いたことがあると思います。ただし、水辺といっても細かく見れば、その環境はさまざま。そして、蚊がどんな場所を好むかということは、種類によって異なるそうです。水がきれいな場所を好むものや、汚い場所を好むものもいるといいます。
「アカイエカは防火用水やドブ、下水溝などの水面に、150~400個の卵を塊で産みます」
「一方で、ヒトスジシマカは空き缶や墓石のくぼみなどの小さな水たまりに、80個ほどの卵をバラバラに産みつけます」
卵は2~5日でかえり、生まれた幼虫が「ボウフラ」です。ボウフラは7~10日の間に4回脱皮を繰り返し、水中で「オニボウフラ」という蛹(さなぎ)になるのだそう。さらに3日ほどたつと、成虫になり空に飛び立つのです。
成虫になってからは2~3週間生き、その間に交尾・産卵をします。つまり、アカイエカもヒトスジシマカも、夏の間の寿命は大体1か月ということになります。
それでは、これらの蚊は、冬はどう過ごしているのでしょうか。
「アカイエカはメスのみが越冬します。成虫のまま洞窟や下水溝、家の中では物置や押し入れ、クローゼットなど、寒さをしのげる薄暗い所に潜んでいるんです。一方で、ヒトスジシマカは卵のまま、産み付けられた水辺で越冬します」と笹岡さん。
卵の形や産み付ける場所だけでなく、越冬の仕方まで異なる2種類の蚊。しかし、それぞれが何度も脱皮して蛹の期間を経て、立派な(?)蚊に成長していることは同じです。これについては、あまりよく知らなかったという人も多いのではないでしょうか。
蚊の生態について知るにつれ、ここで新たな疑問がわいてくる人もいるかもしれません。蚊に刺されると、なぜかゆくなるのでしょうか。なぜ、蚊は人に気づかれずに血を吸えるのでしょうか? 次回は蚊が備えている、血を吸うための驚くべき能力について、お話を伺います。
【取材協力】
■大日本除虫菊