アウトドアに行くと、普段の生活圏では出会えなかったり、気付かなかったりする生き物を見ることができます。一般的に「幻」と言われてしまう生き物も、案外簡単に出会える場合もあります。
今回は幻のようで幻じゃない、ちょっと変わった生き物について、爬虫類研究家でiZoo(イズー)園長・KawaZoo(カワズー)館長の白輪剛史さんに教えてもらいました。
夜行性だから見つけにくいスリムなヘビ 【シロマダラ】
シロマダラは爬虫綱有鱗目ナミヘビ科マダラヘビ属のヘビです。全長30~70cmで、細長い体をしています。シロマダラはよく「幻のヘビ」と呼ばれ、見つかるとニュースになることがあります。本当にそんなに珍しいのでしょうか。
「じつは意外に目撃談や、実際につかまえたという話がよくあります。個体数は多く、日本全国に分布しています。
シロマダラは夜行性のため目撃談が少なく、いつの間にか「幻のヘビ」の異名をとるようになったようです。低山地の森林に生息しているので、キャンプ場で夜ふかしをすると、出会える可能性があります。とはいえ、スリムなので暗いなかでは気づかないかもしれません」
「ちなみに、シロマダラは毒を持ちませんが、外敵と判断すると威嚇してきます。さらに、捕まえようとすると臭い液をかけてくることがあるので注意してください」
■シロマダラ
■ヘビ亜目 ナミヘビ科、爬虫類
■分布:北海道、本州、九州
うろこが虹色に輝くきれいなヘビ 【タカチホヘビ】
タカチホヘビは有鱗目ヘビ亜目ナミヘビ科のヘビで本州や九州、四国に生息しています。名前は1888年に高千穂宣麿(たかちほ のぶまろ)男爵が発見したことに由来するそうです。
「体の色は地方により異なりますが、うろこに虹色が入った美しいヘビです。このヘビもよく幻と言われますが、やはり理由に夜行性という点が挙げられます。
鱗と鱗の間にすき間があって皮膚がむき出しになっていることから、乾燥と高温に弱く、炎天下ではなかなか見られず、夜間にしめった場所で見られることがあるようです」
「毒性はありませんが、とても繊細な生き物ですので、見かけてもそっとしておいてあげてください」
■タカチホヘビ
■有鱗目 ナミヘビ科、爬虫類
■分布:本州、四国、九州、その周辺の島々