出会いが巡礼をより意味深くする
よくサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を歩くことによって「心が洗われる」 とか「生きるヒントを得ることが出来る」ということで、大事なパートナーや家族を失ったり、人生の壁にぶつかったりして何か心にわだかまりがある人が、癒しを求めてカミーノを歩きに来ることが多いそうなのですが、もしかしたら風景を眺めることよりも、巡礼路で出会う様々な人と出会って、心を開いて話をすることが、そういった癒しの力の源になっているのかもしれませんね。
巡礼路には、巡礼者が5ユーロから10ユーロ(2023年現在は、10ユーロから20ユーロ)という安い値段で泊まれて、設備も綺麗で整っているアルベルゲという宿が数多く点在していて、道は案内表示がしっかりと掲示されて整備されています。
ウォーキングが好きな方や熊野古道や四国八十八ヶ所巡礼路を体験した方で、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路に少しでも興味のある方はぜひ本書を参考にして、人との出会いを求めてカミーノ(道)を歩いてみてはいかがでしょうか? それでは「ブエン・カミーノ!(良い旅を)」。
【データ】
■書名:『聖地サンティアゴへ、星の巡礼路を歩く』(2017年6月刊/書肆侃侃房)
■著者:戸谷美津子(とたに・みつこ)
■プロフィール:1953年東京生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーのライターになる。旅、アウトドア、インタビューなどを中心に活動。趣味の山歩きでは国内はじめアジアの山、スイスアルプス、ヒマラヤなどに登る。時代小説が大好きで、眠る前の読書タイムが至福の時。合気道4段。
■URL:http://www.kankanbou.com/books/trip/KanKanTrip/0265
■評者 川田正和(かわだまさかず)
■プロフィール:1967年、神奈川県生まれ。香川県育ち。明治大学文学部卒。大学を卒業後、出版社に就職するもほどなくして退社。アルバイトでお金を貯めては世界各国への長期の旅を繰り返すうちに、旅行専門の本屋をはじめようと決意。書店員を経験した後、2007年に西荻窪に「旅の本屋のまど」をオープン。日本で唯一の旅行専門の本屋として国内外から注目されている。