ソトラバ

知っているようで知らない南極観測隊のリアル 【vol.04】分厚い氷床の上で、地球の息吹を感じるテント生活に迫る!

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別次元の寒さ! 南極大陸の内陸部でのテント暮らし

「南極でテントに泊まるとき、寒さはつらくない?」。この疑問はきっと多くの人が抱くことでしょう。そこで永木さんに伺いました。

「昭和基地周辺の気温は夏でも氷点下、高くても0℃ぐらいです。ただし日差しがあるので想像するほど寒くはなく、たとえば岩場とかだったら、寝袋だけで外に寝る人もまれにいます。1~2日だったら大丈夫」

昭和基地は南極大陸から4km離れた東オングル島にあり、気候は比較的暖かいほうで、カタバ風の影響も強くありません。夏には雪が解けて地肌が露出します。

いっぽう、平均すると2200mもの分厚い氷床に覆われている大陸ではどうでしょうか。

永木さんは2022年から2023年にかけて、昭和基地の約1000km南に位置するドームふじ基地から、5kmほど離れた場所に40日ほど滞在し、観測拠点の建設作業を行ったそうです。

ドームふじ基地は標高3810mにあり、12~1月の夏でも気温が-35℃前後、冬の最低気温は−79.7℃を記録したこともあるという極寒の地。

「今回行ったのは何もないところなんです。基本、隊員が寝るのは雪上車のなかですが、作業期間中に屋外のテントで寝泊まりする人もいました」

このドームふじ観測拠点IIには、打ち合わせ用の大きなテントが1張、小さいテントが3張あり、小さいほうの2つにそれぞれずっと隊員が暮らしていたとのこと。3つ目のテントにはごくまれに、テント体験をしたい人が交代で泊まっていたそうです。

雪面からの冷気がすごいので、床に「スタイロフォーム」という建築用の断熱材を敷き、さらにエアマットなどのありったけのマットを敷き詰めて寝るのだとか。

「寒さは毎日のことなので慣れますし、雪上車には個室がないので、テントは意外に快適なようです。ただし体験したひとりは、白夜なのでテントが光を通してしまい、あまりよく眠れなかったと言っていました」

                    

                   

聞けば聞くほど想像を超えた話が飛び出し、興味を引かれる南極でのテント生活。人間の環境への適応力の高さにも驚かされます。

南極でキャンプをしたいと願っても、なかなか叶うものではありませんが、ピラミッドテントを手に入れて、南極気分に浸ってみるのもいいかもしれません。もしかすると夢のなかに、氷の大陸が出現するかもしれません。

                  

【取材協力】

■国立極地研究所

https://www.nipr.ac.jp/

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