RVブームの名残があった90年代の第一次キャンプブーム。当時は本格的なキャンプ道具を購入するためには、登山用アイテムを取り扱う専門店などに足を運ぶ必要があり、キャンプ用品を手にすることは今ほど簡単ではありませんでした。現在ではアウトドア専門ショップがそこかしこにあり、さらに通販サイトを利用することで注文した翌日に商品が自宅に届くなど、手軽にキャンプ道具を手にすることができる時代となりました。
さらに100円ショップのダイソーやセリアをはじめ、ホームセンターのニトリやカインズ、仕事着のワークマンまでもが魅力的なアイテムをラインアップするなど、これまでは高嶺の花であった高価なキャンプギアがなくとも満足度の高いキャンプが満喫できます。
ブランド力よりリーズナブルさを優先させたギア選び
キャンプやアウトドアが趣味という人も多いかと思いますが、年間を通してキャンプに行く回数を数えればそれほど多くなかったりします。そうなるとブランド力や耐久性よりも、お財布に優しいギアを選ぶのもひとつの手だといえます。
もちろん、すぐに壊れてしまう粗悪品はおすすめしませんが、100円ショップで手に入る着火剤やコンロの網、食器やトング、カトラリーはしっかり活躍してくれます。商品を量産・販売できるホームセンターでは燃焼効率に優れ、煙の少ない二次燃焼システムを装備した高性能な焚き火台(ソロ用)が3000円程度で発売され、話題となりました。
同様に「インスパイア商品」や「ジェネリック商品」と呼ばれる有名ブランドのデザインを思わせるアイテムも数多くリリースされ、その違いは重量が少し重い程度の差です。ザックを背負い、電車やバスなどの公共の交通手段で移動するキャンパーとは違い、クルマを使ったオートキャンプであれば数百グラムの重量増がデメリットになることはありません。逆に軽量化のためにアルミを使ったチェアとは違い、安価なスチール製になったことで耐久性が増すメリットもあります。
自宅用のギアを流用することでキャンプの質を向上
キャンプの泥沼に足を踏み入れると、アイテムが増え続け収納場所に困る弊害もあります。なかには自宅が手狭になりトランクルームを借りている人もいるぐらいです。そんな沼にハマる前に賢い方法として、家庭で使用しているアイテムをキャンプで活用することをおすすめします。
アウトドア用の使いにくいフライパンや鍋ではなく、焦げ付かずに使えるテフロン加工のフライパンや鍋、ケトルをキャンプに持って行くことで、利便性が向上するだけでなく料理の手間も省けます。もちろん、キッチン用品のほかにもデザイン性の高いラグやクッションを流用することで、グランピングのような豪華なサイトづくりも実現します。
またSDGsが叫ばれるなか紙コップや紙皿を使わず、自宅用のグラスや食器を使い回すことで、テーブルを華やかに彩りながら、余計な出費を抑えることができるという一石二鳥の効果も期待できます。
電源のあるオートキャンプ場では家電製品も活用できる
オートキャンプ場では、外部電源が用意されている場所もあり、家庭用の炊飯器やジューサーを使うこともできます。電気を使うキャンプに対して少し抵抗があるかもしれませんが、メスティンや飯盒でご飯を炊くより、何倍もの手間を減らすことができます。料理は炭火を使ったBBQグリルで調理し、道の駅などで仕入れた地産のお米で、ふっくら炊きあがった炊飯器の炊きたてご飯を堪能するのも一興です。
1泊2日のキャンプでは起床からチェックアウトまで、思いのほか時間がなく時短調理が重宝します。そんななか火を起こして……とやっていると、気付けば『あと1時間で撤収しなくちゃ……』なんてことも。そんなとき高出力なポータブル電源があれば、朝から火起こしする必要もなく暖かく美味しい朝食でエネルギーチャージができるし、電気が使えれば電気毛布で寒さに震えることなく快適なテント泊も可能になります。家電製品を使ってキャンプを充実させる、そんな近代文明との折衷スタイルがこれからのニューノーマルになるかもしれません。