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「衝撃のアウトドア本」発掘レビュー! STRANGE OUTDOORE BOOK vol.2 『くう・ねる・のぐそ 自然に「愛」のお返しを』

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  • 山と溪谷社のくう・ねる・のぐそ 自然に「愛」のお返しを
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まるでほぼ日の株価が暴落して動揺した糸井重里が付けたようなタイトルの本だが、タイトルに偽りなく、のぐそ──つまり野っ原にしゃがんでケツを出しウンコする、ザ・野糞について徹底的にこだわった人物の記録である。

                                       

思い出す25年前のある体験 

みなさんは野糞をした経験ってありますか? ぼくは一度だけあります。

いまから25年ほど前のこと。立川に住んでいたとき、新宿での仕事を終えて遅くまで酒を飲み、中央線の終電ギリギリで帰ろうとした。でも、途中で寝ちゃって、慌てて電車を飛び降りたら中央本線の梁川ですわ。大月のちょっと手前。無人の駅舎には「来月より鮎の解禁が始まります」なんて書かれたポスターが貼ってある。ここからもうちょっと行くと笹子トンネルがあって、その先は石和温泉。そんなとこ社員旅行でしか行ったことがない。

こりゃ派手に乗り過ごしたなー! と思っても後の祭りで、どうしようもない。駅周辺には漫喫やネカフェなんかあるはずもなく、コンビニすらない。幸い初夏だったので、始発が来るまで無人駅のベンチで寝てればいいやと思ったけれど、そこに急激な便意が来た。わわわ、どうしよう!

まあ、無人駅でありますし? 深夜ですし? 周辺には誰もいませんし? 野糞するしかありませんね。ちょっと周囲を探索して、雑草だらけの空き地を見つけて、そこでやっちゃった。地主さんには申し訳ないことをしたけれど、もう時効なので許していただきたい。

                                      

著者が「野糞」に目覚めた理由

さて、本書の著者は、なぜ野糞をするようになったのか?

時代は高度成長期。モーレツ社員を養成すべくのスパルタ教育に馴染めなかった著者は、文明を捨て、仙人になることに憧れる。両親に黙って高校を退学すると、山に籠る暮らしを始める。このあたりは前回紹介した『洞窟オジさん』にも通ずるものがありますね。

ただ、彼は徹底した山暮らしをするわけではなく、山を渉猟するうちにキノコ(および菌類)のおもしろさに魅了され、キノコ写真家としての道を歩むようになる。家と山とを往復する生活をしているのだから、どうしても野糞をしなければならないというわけでもないのだが、ある出来事をきっかけに野糞に目覚めてしまう。それは「屎尿処理場建設反対」運動との出会いだった。

度重なる山歩きで自然の美しさを再認識した。ところが、ひと度、河川に目をやると、上流で宅地開発された一般家庭からの排水が垂れ流しされている。

〈田舎にある我が家は、昔ながらのボットン便所だった。当時の私は、街に出たときに使う水洗トイレがうらやましく、我が家の便所は臭くて恥ずかしいと思っていた。しかし、この処理場反対運動を知ってからというもの、私のトイレに対する意識は一変した。自分で出したウンコに責任を持たず、どこか遠いところで始末してくれとは、単なる住民エゴではないか。〉

そして著者は、自らひり出したウンコを自然に還す唯一の方法として、野糞を選択していくのである。

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