小さい頃から、ムカデを手に這わせて遊び、部屋に住み着いたクモを愛で、自分をナウシカだと信じたまま大人になった筆者を惹き付けたのは、池袋のサンシャイン水族館で開催されている「もうどく展 ReMix」。「ReMix」と銘打っているのは、以前も同じくもうどく展が開催されていたから。前回はかなりの好評を博し、今回もパワーアップした「もうどく展」が開催されているようです。
大行列のその先には不思議で不気味な世界が広がる
大人気企画ということもあり、入り口は大行列。会場横にはオリジナルマカロンが買える自動販売機が設置されています。猛毒を有するジュウジメドクアマガエルやミナミハコフグがモチーフになった可愛らしいマカロンが食べられます。もちろん、毒は入っていませんのでご安心ください。
入場すると、不思議な世界へ迷い込んだような感覚になります。場内は黒を基調とした内観にレンガや古い本棚の壁紙が貼られ、蜘蛛の巣や木の根がはっているような演出がなされています。真っ赤な部屋で危険性を表しているような内観などが広がります。
全体的に薄ぼんやりとした明かりの中、水槽だけが浮かび上がるようにはっきりとした光を放っています。
入り口にはサンシャイン水族館オリジナルの「毒レベル」が紹介されており、全ての展示にLv.1~5までのランクが書かれています。その生物が、どれだけの毒を持っているのかがひと目でわかります。しかし中には毒レベルが測定不能な「?」の生物も混ざっているようです。
展示生物は約25種類! 意外と恐ろしい生き物も
今回の展示で筆者が注目したのは、赤いお腹が特徴のアカハライモリです。別名「ニホンイモリ」とも呼ばれるほど日本全土に生息している日本人には身近な生物で、両生類の中でも小さく可愛らしい見た目です。
会場では男の子がその赤いお腹を見ようと水槽を下から見上げていました。今回の「もうどく展 ReMix」では、体に特徴のある生物をさまざまな角度から観察できる展示方法も特徴的です。触ることこそできませんが、間近で有毒生物をじっくり見られる機会はなかなか珍しいのではないでしょうか。
ようやくお腹を見ることができた男の子は「お腹キレー!」と目を輝かせていましたが、直後にお母さんが「でもこれ触った手で目をこすったりしたら絶対アカンで」と一言。アカハライモリの有する毒は、フグ毒で有名な「テトロドトキシン」です。毒の量は多くありませんが、粘膜に触れると段階を踏んで全身に麻痺が広がるため、大変な注意が必要です。
アカハライモリの持つ鮮やかなお腹の赤色は、「自分は有毒生物である」という警告色なのです。とはいえ、この赤いお腹を見せるために精一杯体を後ろにそらして「むん!」とドヤ顔気味のアカハライモリを見ると、癒されるほかありません。
ちなみに常設展示の方でも、コバルト色のアイゾメヤドクガエルなどの珍しい色の有毒生物に出会うことができますよ。