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闘牛たちの熱き大激突!東北唯一の「平庭高原闘牛大会」を観戦してきた!【東北エリア】

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  • 岩手県久慈市で開催の平庭高原闘牛大会
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  • 日本一の白樺美林
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  • 闘牛大会

円形の闘牛場のなかで繰り広げられる、牛と牛との熱きぶつかり合い。闘牛といえばスペインのイメージですが、じつは日本でも闘牛がいくつかの場所で行われていることをご存知でしょうか? 

今回は、東北唯一の闘牛大会「平庭高原闘牛大会」を現地観戦。大会当日の様子をリポートします!

                  

起源は江戸時代⁉︎ 岩手の平庭闘牛大会とは

岩手県久慈市の山あいにある旧山形村は、南部牛を祖とする和牛、短角牛の産地です。その旧山形村の平庭高原の一角には闘牛場があり、毎年春から秋にかけて闘牛大会が行われています。

現在、闘牛が行われている地域は全国で6県のみ。沖縄や鹿児島県の徳之島など、比較的暖かい地域で開催されるイメージが強いですが、なぜ岩手県で実施されるようになったのでしょうか。

                      

                        

平庭闘牛大会の起源は、江戸時代まで遡ります。

久慈市では古くから「南部牛」と呼ばれる牛が農耕や荷運びを手伝う役牛として飼育されており、南隣にある野田村で焚かれた塩を背に乗せ、盛岡方面へと運んでいました。

その際に先頭の牛を決めるため、牛同士を突き合わせたのだそう。これが岩手の闘牛の始まりといわれ、1983年からは本格的な行事として闘牛大会が開催されました。

今回行ってきたのは、2023年5月14日に行われた闘牛大会のわかば場所。わかば場所は無料公開されており、大人から子どもまで毎年多くの人が訪れます。

ちなみに平庭高原は31万本以上もの白樺が林立する、日本一の白樺美林がある場所としても有名です。闘牛場に行く道中では、白樺の美しい景色を楽しむことができます。

                     

                     

意気揚々! 若い闘牛たちが続々と登場

5月14日の11時前。平庭闘牛会場に到着すると、すでに多くの人で賑わっていました。入口ではグッズ販売もあり、闘牛大会のオリジナルTシャツなどを購入できます。

会場に入ると、闘牛大会の番付表のようなものが配られ、そこには本大会に出場する闘牛の名前がずらり。「一星龍」などの〝いかにも〟な名前の牛から「ボブ勝ッツ!」や「二代目柿木チョッパー」など、ユニークな名前までさまざまです。闘牛の名前はオーナーになれば自由につけられるのだそう。

大会についての説明のアナウンスが終わると、いよいよ闘牛大会が幕開けです。

                     

                     

闘牛大会の流れはいたってシンプル。まずは闘牛たちが「勢子(せこ)」と呼ばれる闘牛士に手綱で引かれながら入場し、観客に見えるよう場内を一周。その後、相手の牛と向かい合います。頭と頭を合わせ、互いの角をかけあい、そこから牛たちの力比べがスタート! その間、勢子は手綱を放しません。かけ声をかけながら、一緒になって戦うのです。

緊張の初戦。「闘将銀蝿(とうしょうぎんばえ)」と「南部鉄鬼」という名前の二頭が、力強い唸り声を上げて入場してきました。大きい! 二歳といえど、推定される体重は400~500kg。ずっしりとした大きな体格の闘牛たちが入場する様子は、やはり迫力があります。

お互いがだんだんと近づき……いよいよ角突きがはじまる! かと思いきや、なにやらくんくんと匂いを嗅ぎだした闘牛たち。

 

                       

通常であれば、この後頭を合わせて激しく押し合うのですが、この二頭は周りをキョロキョロしてばかり。そのまま頭を合わせることなく、じゃれあいはじめました。

今回のわかば場所は、初めての出場となる二歳のデビュー牛が多く、若牛たちが闘牛に慣れるための「練習会」的要素を含んだ大会です。

二歳の牛は、人間で言えば8歳~10歳、小学生くらいの年齢にあたります。言ってしまえば、牛にとってこれははじめての運動会。「なにしたらいいの?」と頭に「?」マークが浮かんでいるようで、一向に闘いが始まりません。

「この二頭はなかよしだったみたいですね!」と司会者がコメントし、闘わないまま試合が終了してしまいました。

その後、牛を変えての第二回が始まったのですが……。今度はペロペロと舐め合っていますね……。

思ってもみない牛たちの仲良しぶりがなんだかおかしくて、思わず笑ってしまいました。

 

                       

しかし、本日は牛のなかよし交流会ではなく、闘牛大会です。「北翔龍」「赤兜」と大きな若牛たちが続々と登場し、大会が進むにつれて、最前列に土煙がかかるほどの迫力ある闘いが多くなってきました。

                      

両者譲らぬ戦い! 「大翔」VS「スミキング」

なかでも激しい戦いを見せてくれたのは「大翔(たいが)」VS「スミキング」です。二頭は雄叫びをあげながら入場すると、徐々に頭を合わせて大激突! 両者譲らぬ押し合いで、見事な力比べをしています。力は五分五分です。「グオオ~!」と大きな声で鳴きながら、どちらの牛も全力を出して、前へ出ようとしています。

                   

                      

そんななか、先手を取ったのは「大翔」です。強い力で「スミキング」を柵の方へと押しやり、その迫力で観客から驚きの声が上がります。「さあ激しい!」と司会者の声。

                      

                        

しかし、追いやられたスミキングも負けてはいません。首をうまく使って反撃! 大翔をぐっと押し戻しました。両者譲らず。しばらく押し合っていた二頭ですが、ここで引き離されて試合が終了しました。

勝負はまだついていない、と思われるかもしれませんが、平庭闘牛大会には、牛同士の決着をつけさせない「全試合引き分け」のルールがあります。

平庭闘牛に登場する牛は、闘牛育成の産地としての役割も担っています。ですので、今後の試合に備えて手綱をつけて戦わせ、決着がつく前にうまく勢子が引き分けにします。これには怪我防止のほかに、若いうちに負け癖をつけさせない、という意味も込められています。

そうして久慈で育った闘牛は、南部牛として全国の闘牛大会で活躍。平庭闘牛大会では、〝牛の将来〟を大切にしているのです。

 

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