その土地の生態系や気候の変化までわかる
特に、地形と気候というのはアウトドアを楽しむ上で非常に重要な要素だと思うのですが、本書では、しっかりとそれぞれ細かい項目に分けて様々な情報が掲載されています。
地形のページでは、地球内部の力で出来た地形、侵食・堆積によってできた地形、河川のつくる小地形、海岸の地形、氷河のつくる地形、その他の地形といった項目にわけて、様々な地形について紹介。テントを張る際には、その場所が一体、どういう経緯で出来た地形なのかが分かれば、ガイドロープをペグで固定する際にその土壌にあわせたペグを選ぶことが出来るはずです。
また、気候のページでは、世界の気候区と海流、植生分布、土壌分布、気温と降水量、気圧と風向といった項目に分けて、詳細でカラフルな地図で詳しく紹介していますので、自分が遊びに行く場所がどういう植物が生えていて、気温がどういう変化をして、風がどの程度吹く場所なのかが把握することが出来ます。
本書は、アウトドアを安全に楽しむうえで欠かせない、自然の地形や気象条件などを把握するためのデータや数字がグラフなどで分かりやすく掲載されていますので、ネットが使えない状況下でも落ち着いて紙の地図を読み込めるようになるためにも、本書で楽しみながら地図の面白さに開眼して欲しいと思います。
【データ】
■帝国書院編集部 著『新詳高等地図』(2022年12月刊/帝国書院)
■評者 川田正和(かわだまさかず)
■プロフィール:1967年、神奈川県生まれ。香川県育ち。明治大学文学部卒。大学を卒業後、出版社に就職するもほどなくして退社。アルバイトでお金を貯めては世界各国への長期の旅を繰り返すうちに、旅行専門の本屋をはじめようと決意。書店員を経験した後、2007年に西荻窪に「旅の本屋のまど」をオープン。日本で唯一の旅行専門の本屋として国内外から注目されている。
■URL:http://www.nomad-books.co.jp/