旅の本屋「のまど」の店長・川田氏が、店頭に並ぶ本のなかから、外にでかけてみたくなるキャンプ・アウトドア好きのための本を選びます。第5回は、本は本でも読み物ではなく「地図」をピックアップ。種も仕掛けもないその紙面から、実に様々な情報を読み取れる、奥深い地図の世界をご紹介します。
地図から読み解ける時代の変化が面白い
本書は、高等学校で使用されている地図帳で、市販もされています。世界各地の地域資料図を満載するなど、記載内容が最も詳しい高等学校用地図帳です。
特徴としては、地名が詳しく資料も豊富なので、公務員試験や旅行地理検定などの地理の学習に役立つ。イラスト入りの鳥瞰図が多数掲載されていて、それぞれの地域のイメージが掴みやすい。自然環境や産業、文化、人口などがわかる巻末資料が充実しているので、調べものに便利、といった点が挙げられます。
この商品は、開店当初から置いていて、当店では隠れた売れ筋商品なのですが、お店に来たお客さんの中には本書を見て「これ懐かしい」とか、「これ学校で使ってた」と言って購入される方が多いです。
個人的に地図が大好きで、子どもの頃から地図ばかり見ていたのですが、なかでもこの『新詳高等地図』が一番好きで、高校生の頃に使っていたものを今でもたまに見たりします。
約40年前の1980年代と今とでは、巻末の国の人口や面積などの変化が激しいのですが、一番驚くのは、新しい地図帳では国そのものが消滅していたりすることです。ソ連やユーゴスラビアといった国は今や地図上には存在してないですし、東西に分かれていた ドイツは一つの国家になっていたりして。この地図帳の改版と共に、時代の変化を感じることが出来るのもまた面白いところです。
デジタルの時代でも山では役立つ紙の地
紙の地図しかなかった昔と違って、今はスマホでグーグルマップを開けば誰でも簡単に地図を無料で見られる時代になりました。それは確かに便利なのですが、その分、地図の情報をしっかりと読める人が増えてるとは言い難いのではないでしょうか。
キャンプや山登りといったアウトドアを楽しめる場所というのは、概ね山のなかなので、ネット環境や電源の設備が整ってるとは一概に言えない所も多い。いざという時にスマホの地図が頼りにならないこともあると思います。そんな時に、紙の地図の情報をしっかりと読み込めるようになっていれば安心です。